新春第一弾は「劇序版MOZU」(WOWOW)です。
逢坂剛のベストセラー小説を基にしたテレビドラマの劇場版。二つの規模の大きな同時テロの捜査にあたる公安警察官の倉木が、事件の背後に存在する謎の人物、ダルマと対峙(たいじ)する。監督に羽住英一郎、キャストには西島秀俊、香川照之、真木よう子と、テレビ版のメンバーが結集。さらにビートたけし、伊勢谷友介、松坂桃李らが新たに加わって物語を盛り上げる。ダルマにふんしたビートたけしの怪演に加え、フィリピンでのロケを敢行して撮られたカーアクションや爆破シーンも見どころ。
主演:西島秀俊
共演:ビートたけし、香川照之、真木よう子、伊勢谷友介、松坂桃李
その他:長谷川博己、小日向文世、松壮亮、伊藤淳史、杉咲花、阿部力など
<ストーリー>
妻子の死をめぐる謎を追い、その果てに警察内部に存在する闇を暴いた公安警察官の倉木(西島秀俊)。それから半年、ペナム大使館襲撃と高層ビル占拠爆破というテロが同時に勃発。これらの事件は、犯罪プランナーの高柳(伊勢谷友介)と暗殺のプロフェッショナルである権藤(松坂桃李)が率いるグループによるものだった。彼らは、戦後犯罪史に残る組織的犯罪や経済事件に関与しているとうわさされる人物、ダルマ(ビートたけし)の名のもとに、さらなる規模の計画を進めており
年末にドラマ「MOZU」を見て、中でも「SEASON1」がなかなか面白かったので、続けて「SEASON2」を見ていたら、何だか中途半端で終わってしまい、どうやらその続編が映画版ということらしいので、改めてWOWOWで検索して見たわけだ。
もちろん映画館で公開されていたのは知っていたが、それ以前の物語を知らなかったので、見ても面白くはないだろうと思っていたわけで、結果的にはそれが正解!?
それまでの物語を知らないとまったくわからないような内容になっていた。
特に小日向文世演じる津城は、現れたと思ったら、いきなり殺されてしまうし、物語の根幹部分を占めているMOZUこと新谷和彦は、後半になって突然(しかも外国に)現れて、西島秀俊演じる主人公・倉木の相棒とも言える元警視庁刑事で、今は探偵をやっている大杉親娘の命を救うことになるのだが、初めて見る人には、何が何だか理解できないと思う。
映画版では、ドラマ版で随所に出てくる謎の男「だるま」の正体が明かされるということなので、ちょっと期待して見たのだが、結論から言うと「何で、あんな形にしたの?」というとても残念な気持ちになっただけだった。
それ以外にも、違和感のかたまりというか、見ていて「???」というシーンがたくさんあった。
まず、冒頭で松坂桃李演じる権藤が、ビルの爆破と人質を取るというテロまがいの行動を取るのだが、その目的は架空の国である「ペナム共和国」の大使館に匿われていた母娘を誘拐するため、ということらしく、爆破のせいで避難しようとした母娘を襲おうとして、たまたま居合わせた倉木に阻止される。
最初から母娘の誘拐だけ企てていればいいものを、結果的に目的を果たせていないのだが、その後大杉の娘や真木よう子演じる明星などをいとも簡単に拉致していたことを考えたら、テロ行為に何の意味があったのかと思わざるを得ない。
この権藤という男は、かなりイカれたヤツなのだが、元公安で完全に裏社会の人間になってしまった長谷川博己演じる東などにしても、とにかくイカれた連中がぞろぞろ出てくる。
一方、イカれた連中に対峙する倉木や大杉だけど、とにかく不死身で、どんなに痛めつけられても、次の瞬間にはもうピンピンしている。
特に倉木は、終始殴られっ放しで、あろうことかロケットランチャーで乗っていた車を大破させられたのに、ほぼ無償(殴られた時の傷だけ?)だった。
大杉にいたっては、権藤に頸動脈を刺されて大出血し、どう見ても助からない状態のようだったのに、次の瞬間にはもう日本に帰国して、何事もなかったかのように行動していた。
そして、そういったイカれた連中のバックにいるのが、ビートたけし演じる「だるま」だけど、世界を裏から操っている、という前提にしては、周りにいるのはイカれた連中ばかりなので、とてもきちんと統制が取れているようには見えない。
しかも、御年90才という年齢で、身体は弱っていてベッドの上に寝たきりの状態なのだけど、どうやら人身売買によって拉致した子供たちの臓器を移植しているらしく、誘拐したペナム共和国の娘の臓器を移植した次のシーン(映画ではラスト直前)では、倉木の前に現れて、しかも元気に歩き回っていた。
いったいどういう設定なんだろう。
予告編では、この時の「だるま」の登場がクライマックスのように描かれていて、これだけ見ると「おっ、いよいよか?」という感じなのに、実際には直前のシーンでベッドに寝ている状態だったのが急に現れたので、とにかく違和感しかない。
だいたい、この「だるま」は、多くの人の夢の中に出てくる恐怖の象徴みたいな存在だったのだが、これについての説明は一切ない。
原作では「ある実験の副作用によるもの」みたいな説明があったようだけど、それにしても、実験台にされていない人だけでなく、実際に「だるま」に会ったことのない人の夢にまで出てくることは、いったいどう理屈をつけるつもりなんだろう。
倉木の奥さんは実際に会っているので、まだいいとしても、公安刑事の明星などは会ったことがないはずだ。
などなど違和感ありまくりの描写ばかりだったのに、最後のシーンって、もしかして夢オチなの?
どうしてああいう形にしたのか、これまた理解できない。
とにかく、ドラマに出ていた登場人物たちが軒並み出てくるので、見た人にはある程度ついていけるかも知れないが、見たことのない人には、まったくもっと理解のできない映画だったに違いないと思う。
ということで、本来であれば評価は「D」にしたいところだけど、ドラマの方が結構面白かったので、トータルで考えて「C」にしておきます。
出演者で言えば・・・
西島秀俊は、いつ見ても棒演技だとは思うが、今回の設定はほとんど喜怒哀楽を表に出さない公安警察の役なので、それほど違和感はなかった。
同じように池松壮亮も、ドラマ版ではほぼすべてが棒読みだったけど、今回はセリフも少ない上に、切羽詰まった段階での登場だったので、本来であれば主役の一人でもあるし、思わず「おおっ」と思ったくらいだった。
逆に、いつも過剰な演技で暑苦しい香川照之も、西島秀俊との対比で、何だか普通に見えていたので良かったかも。
松坂桃李は、たまにこういう役をやるけど、何を目指しているんだろう。
なおドラマ版では、吉田鋼太郎がいつも以上にイカれていたのはいいとしても、有村架純が意外にもあっさりと殺されてしまったのには驚いた。
逢坂剛のベストセラー小説を基にしたテレビドラマの劇場版。二つの規模の大きな同時テロの捜査にあたる公安警察官の倉木が、事件の背後に存在する謎の人物、ダルマと対峙(たいじ)する。監督に羽住英一郎、キャストには西島秀俊、香川照之、真木よう子と、テレビ版のメンバーが結集。さらにビートたけし、伊勢谷友介、松坂桃李らが新たに加わって物語を盛り上げる。ダルマにふんしたビートたけしの怪演に加え、フィリピンでのロケを敢行して撮られたカーアクションや爆破シーンも見どころ。
主演:西島秀俊
共演:ビートたけし、香川照之、真木よう子、伊勢谷友介、松坂桃李
その他:長谷川博己、小日向文世、松壮亮、伊藤淳史、杉咲花、阿部力など
<ストーリー>
妻子の死をめぐる謎を追い、その果てに警察内部に存在する闇を暴いた公安警察官の倉木(西島秀俊)。それから半年、ペナム大使館襲撃と高層ビル占拠爆破というテロが同時に勃発。これらの事件は、犯罪プランナーの高柳(伊勢谷友介)と暗殺のプロフェッショナルである権藤(松坂桃李)が率いるグループによるものだった。彼らは、戦後犯罪史に残る組織的犯罪や経済事件に関与しているとうわさされる人物、ダルマ(ビートたけし)の名のもとに、さらなる規模の計画を進めており
年末にドラマ「MOZU」を見て、中でも「SEASON1」がなかなか面白かったので、続けて「SEASON2」を見ていたら、何だか中途半端で終わってしまい、どうやらその続編が映画版ということらしいので、改めてWOWOWで検索して見たわけだ。
もちろん映画館で公開されていたのは知っていたが、それ以前の物語を知らなかったので、見ても面白くはないだろうと思っていたわけで、結果的にはそれが正解!?
それまでの物語を知らないとまったくわからないような内容になっていた。
特に小日向文世演じる津城は、現れたと思ったら、いきなり殺されてしまうし、物語の根幹部分を占めているMOZUこと新谷和彦は、後半になって突然(しかも外国に)現れて、西島秀俊演じる主人公・倉木の相棒とも言える元警視庁刑事で、今は探偵をやっている大杉親娘の命を救うことになるのだが、初めて見る人には、何が何だか理解できないと思う。
映画版では、ドラマ版で随所に出てくる謎の男「だるま」の正体が明かされるということなので、ちょっと期待して見たのだが、結論から言うと「何で、あんな形にしたの?」というとても残念な気持ちになっただけだった。
それ以外にも、違和感のかたまりというか、見ていて「???」というシーンがたくさんあった。
まず、冒頭で松坂桃李演じる権藤が、ビルの爆破と人質を取るというテロまがいの行動を取るのだが、その目的は架空の国である「ペナム共和国」の大使館に匿われていた母娘を誘拐するため、ということらしく、爆破のせいで避難しようとした母娘を襲おうとして、たまたま居合わせた倉木に阻止される。
最初から母娘の誘拐だけ企てていればいいものを、結果的に目的を果たせていないのだが、その後大杉の娘や真木よう子演じる明星などをいとも簡単に拉致していたことを考えたら、テロ行為に何の意味があったのかと思わざるを得ない。
この権藤という男は、かなりイカれたヤツなのだが、元公安で完全に裏社会の人間になってしまった長谷川博己演じる東などにしても、とにかくイカれた連中がぞろぞろ出てくる。
一方、イカれた連中に対峙する倉木や大杉だけど、とにかく不死身で、どんなに痛めつけられても、次の瞬間にはもうピンピンしている。
特に倉木は、終始殴られっ放しで、あろうことかロケットランチャーで乗っていた車を大破させられたのに、ほぼ無償(殴られた時の傷だけ?)だった。
大杉にいたっては、権藤に頸動脈を刺されて大出血し、どう見ても助からない状態のようだったのに、次の瞬間にはもう日本に帰国して、何事もなかったかのように行動していた。
そして、そういったイカれた連中のバックにいるのが、ビートたけし演じる「だるま」だけど、世界を裏から操っている、という前提にしては、周りにいるのはイカれた連中ばかりなので、とてもきちんと統制が取れているようには見えない。
しかも、御年90才という年齢で、身体は弱っていてベッドの上に寝たきりの状態なのだけど、どうやら人身売買によって拉致した子供たちの臓器を移植しているらしく、誘拐したペナム共和国の娘の臓器を移植した次のシーン(映画ではラスト直前)では、倉木の前に現れて、しかも元気に歩き回っていた。
いったいどういう設定なんだろう。
予告編では、この時の「だるま」の登場がクライマックスのように描かれていて、これだけ見ると「おっ、いよいよか?」という感じなのに、実際には直前のシーンでベッドに寝ている状態だったのが急に現れたので、とにかく違和感しかない。
だいたい、この「だるま」は、多くの人の夢の中に出てくる恐怖の象徴みたいな存在だったのだが、これについての説明は一切ない。
原作では「ある実験の副作用によるもの」みたいな説明があったようだけど、それにしても、実験台にされていない人だけでなく、実際に「だるま」に会ったことのない人の夢にまで出てくることは、いったいどう理屈をつけるつもりなんだろう。
倉木の奥さんは実際に会っているので、まだいいとしても、公安刑事の明星などは会ったことがないはずだ。
などなど違和感ありまくりの描写ばかりだったのに、最後のシーンって、もしかして夢オチなの?
どうしてああいう形にしたのか、これまた理解できない。
とにかく、ドラマに出ていた登場人物たちが軒並み出てくるので、見た人にはある程度ついていけるかも知れないが、見たことのない人には、まったくもっと理解のできない映画だったに違いないと思う。
ということで、本来であれば評価は「D」にしたいところだけど、ドラマの方が結構面白かったので、トータルで考えて「C」にしておきます。
出演者で言えば・・・
西島秀俊は、いつ見ても棒演技だとは思うが、今回の設定はほとんど喜怒哀楽を表に出さない公安警察の役なので、それほど違和感はなかった。
同じように池松壮亮も、ドラマ版ではほぼすべてが棒読みだったけど、今回はセリフも少ない上に、切羽詰まった段階での登場だったので、本来であれば主役の一人でもあるし、思わず「おおっ」と思ったくらいだった。
逆に、いつも過剰な演技で暑苦しい香川照之も、西島秀俊との対比で、何だか普通に見えていたので良かったかも。
松坂桃李は、たまにこういう役をやるけど、何を目指しているんだろう。
なおドラマ版では、吉田鋼太郎がいつも以上にイカれていたのはいいとしても、有村架純が意外にもあっさりと殺されてしまったのには驚いた。
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