プロ野球解説はつまらない！？

野球解説でお馴染みのマーティ・キーナート氏がこんなことを言っていた。

「日本では、プロ野球の放映にＳＭＡＰやモー娘。など野球とは関係のない芸能人を出演させてばかりで、本当の野球解説者を育てていない。だから日本の野球解説はつまらないのだ。」という内容だった。

ちょっと違うような気がする。
本当の野球解説者を育てていないのは事実だろうが、それはファンがそんなもの必要としていないからだろう。

もともと日本人って、スポーツを本当に楽しもうという人は少ないのではなかろうか。

オリンピックなんか見ればよくわかる。

柔道でも水泳でも種目は何でもいい、とにかく優勝するかそれに近い人が出てくればそれでいいのだ。

理由は簡単

「感動できる」から。

感動の中味なんかどうでもいい。
ただ感動できる（に違いない）場面があればそれでいいわけだ。

以前オリンピックの自転車競技で十文字選手が優勝した時は、皆優勝ということで大喜びしていたのだが、何の種目かどんな競技かわからず、喜び方が中途半端だったヤツが多かった。
でも、きっちり「感動しました」って言ってたけどね。

柔道にしても水泳にしても、ふだん日本国内での試合なんか見たこともないくせに、オリンピックというだけで大騒ぎするんだから、スポーツを楽しむ真のファンなんて育つわけがない。
自転車などは国内競技なんか放映もしてないだろうし。

プロ野球だってそうだろう。
でなきゃ、巨人一辺倒の仕組みが出来上がるわけがない。

よく音楽の場合、ＣＤがよく売れるのは「『それがいい曲だから』ではなくて『よく売れているから』だ」なんてことを言う人がいるが、それと同じかも知れない。

自分が楽しもうとしているのではなく、人が楽しんでいるその仲間に入りたい、他の人と同じでなきゃいやだ、という気持ちの方が強いのではなかろうか。

だから「巨人が強くなきゃプロ野球なんて面白くない」とか「とにかく巨人」みたいな言い方をされると、じゃあ巨人を応援しなきゃ、っていう思うヤツがぞろぞろ出てくるんだろう。
実際巨人ファンって言ってるヤツの中には、巨人の選手どころか野球のことさえ知らないヤツが多い。

そんなファンばかりだから、きちんとした解説なんかいらないわけだ。
聞いたってわかんないヤツが多いんだし、勝った負けただけわかれば別にいいわけだし、どうせなら芸能人が出てた方が見ていて楽しいんだろう。


ついでに言うと、キーナート氏は「解説していたデーブ大久保も気の毒だった」と言っているが、それもないと思う。

デーブ大久保だって、野球の解説より芸能人と話をする方が楽しいに違いない。
ふだん出ているバラエティとかの方が楽しそうだしね。
仕事だから解説しているだけで、彼の方こそ、ファンはそんな解説なんぞ聞いてやしない、ってことをよ～く知っているんじゃないか。

そんな日本のプロ野球をイチローが嫌ったのは、当たり前のことかも知れない。
イチローのような本当に野球を楽しんで見てほしいという選手は、もう大リーグに行くしかないと思う。

日本のファンは、これからもたぶん変わらないだろうし。