はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1111 ~ 法廷遊戯

2023-11-13 | 映画評
今日は「法廷遊戯」です。

第62回メフィスト賞を受賞した作家・弁護士の五十嵐律人による法廷ミステリー小説を、アイドルグループ「KING&PRINCE」の永瀬廉主演で映画化。
主人公セイギを永瀬、美鈴を杉咲花、馨を北村匠海が演じ、ロースクールの教授・奈倉哲役で柄本明、セイギの過去を知る弁護士・釘宮昌治役で生瀬勝久、警察官である馨の父・悟役で筒井道隆、物語の鍵を握る何でも屋・沼田大悟役で大森南朋が共演。「神様のカルテ」の深川栄洋監督がメガホンをとり、「総理の夫」の松田沙也が脚本を手がけた。

主演:永瀬廉
共演:杉咲花、北村匠海、戸塚純貴、黒沢あすか、倉野章子、やべけんじ
その他:タモト清嵐、柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、大森南朋など

<ストーリー>
弁護士を目指してロースクールに通うセイギこと久我清義(きよよし)と、同じ学校で法律を学ぶ幼なじみの織本美鈴、2人の同級生でロースクールの学生たちが行う「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判を司る天才・結城馨は、共に勉強漬けの毎日を送っていた。無事に司法試験に合格し、弁護士となった清義のもとに、ある時、馨から無辜ゲームをやろうという誘いがくる。しかし、呼び出された場所へ行くとそこには血の付いたナイフをもった美鈴と、すでに息絶えた馨の姿があった。この事件をきっかけに、3人をめぐる過去と真実が浮かびあがっていき、事態は二転三転していく。


これは、結構重い映画だった。

しかも、ハッピーエンドではなく、むしろバッドエンドである。

なぜか予告編を見た覚えがないので、タイトルとあらすじだけ見て、「弁護士の卵たちが、疑似裁判をしていたところ、本当に殺人事件が起こったが、犯人は意外な人だった・・・」的な内容だと勝手に想像していたのだが、全然違った。

確かにドンデン返しの連続ではあるのだが、そこにかなり深いドラマが隠されていた、というものである。

犯人だと思われていた人が実は犯人ではなくて、被害者と思われていた人が犯人だった、とかいう話が複雑に絡んでくるのだが、話の展開はほぼ3人に絞られる。

ネットなどでは「三者三様の正義がある」みたいな感想を書いている人がいたが、ちょっと違うように思う。

そもそも、施設生活を強いられたのは、本人に責任がないとは言え、だからと言って犯罪を行ってもしかたがない、ということにはならない。

「大人に取り入って生きていくしかない」というのは、状況は理解できるが、それが許されていいわけがない。

見ていて、最終的に思ったのは「正義を主張していいのは、あの親子だけじゃん」ということだった。

とは言え、途中までの展開は、次から次へと新事実が明らかになるので、最後までハラハラ・ドキドキ感でないものの、かなり期待するものがあった。

ただ、序盤はそれこそ最初に私が勝手に想像していたような内容で、「無辜ゲーム」の名の通り、ガキどもの疑似裁判みたいなものだったので、一人の学生の過剰な演技にちょっと引いたものだった。

それに、実際の裁判のシーンでも、大森南朋演じる男が証人として出廷した際、途中で突如一人の裁判員の女性に罵声を浴びせる、というシーンがあるのだが、結局このシーンの謎解き(?)は最後までされなかった。

何かの伏線かと思っていたのに、これはいったい何だったの?

出演者で言えば、杉咲花の怪演が目立ったが、終盤から人格が変わったのかと思われるほどの変貌だったので、あれではただのサイコパスにしか見えない。

そのまったく逆だったのが主演の永瀬廉で、「抑えた演技」と言えば聞こえはいいが、新米の弁護士とは言え、終始ぼそぼそとしゃべっていて、何だか頼りない印象しかなく、演技が下手だから、あえてああいう役柄にしたとしか思えないほど、存在感がなかった。

その逆が北村匠海で、こちらは何をやっても存在感があるなあ、と思える演技で、途中で柄本明演じる大学教授の質問に対して淡々と答える姿は、難解な法律用語も普段から使っているかのようにすらすらとしゃべっていて、かなり好感が持てた。

彼のセリフで「無罪とは、検察側が犯罪を立証できなかったもの」というのがあったが、原作者の考えなんだろうけど、なかなか面白いと思った。

たぶん、この役は永瀬廉ではムリなんだろうと思う。

とは言え、全体としてはうまくまとまっていたと思うし、結構楽しめたので、評価は「B」にします。

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