はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評996 ~ ブレイブ-群青戦記-

2021-03-14 | 映画評
今日は「ブレイブ -群青戦記-」を見てきました。

「週刊ヤングジャンプ」で連載された笠原真樹のコミック「群青戦記 グンジョーセンキ」を、『踊る大捜査線』シリーズなどの本広克行監督が実写映画化。ある日突然戦国時代にタイムスリップしてしまったスポーツ名門校の高校生たちが、生き延びようと奮闘する。『サヨナラまでの30分』などの新田真剣佑が主演を務め、戦国武将の松平元康(後の徳川家康)を三浦春馬、織田信長を松山ケンイチ、ヒロインを山崎紘菜が演じる。

主演:新田真剣佑
共演:山崎紘菜、鈴木伸之、渡邉圭祐、高橋光臣
その他:濱田龍臣、池田純矢、三浦春馬、松山ケンイチなど


<ストーリー>
スポーツ強豪校の弓道部に所属する高校2年生・西野蒼(新田真剣佑)は、目立つのが苦手で弓道場で練習に打ち込むだけの日々を送っていた。ある日、雷が落ちたかと思うと校庭の向こうに城が出現し、校内には武士たちが乱入してくる。全校生徒がパニックに陥る中、歴史好きな蒼は戦国時代の「桶狭間の戦い」直前に学校がまるごとタイムスリップしてしまったことを悟る。


原作はマンガのようだけど、長い物語を2時間の映画に収めるのは難しいとは言え・・・

ここまでヒドいとは思わなかった。

はっきり言って、見るんじゃなかった!

予告編を見て、正直言ってちょっと「戦国自衛隊」みたいなものを期待していた。

今作の主演である新田真剣佑のお父さんである千葉真一が主演したSFアクション映画であるが、それと比べるのもおこがましい、としか言いようのない内容だった。

あちらはバリバリの軍人である自衛隊員で、こちらはトップアスリート集団とは言え、ただの高校生だ。

元から設定に無理があったわけだ。

戦国時代にタイムトリップしてしまった、という設定についてとやかく言ってもどうしようもない。

これを否定すると、映画なんて見ることができなくなるからだ。

1年前に先にタイムトリップしていた先輩高校生・不破は、なぜその時代に行けることを知っていたのかとか、なぜ1年後に同じ時代に行ってしまうのかとか、言い出したらキリがない。

それを是としても、その後の展開はムチャクチャだ。

戦国時代にタイムトリップした高校(校舎ものとも)だけど、そこでいきなり織田信長方の家来に襲われるのだが、何でいきなり襲ってきたの?

彼ら(武士たち)からしたら、面妖と言うか得体の知れない物体や人間が突如現れたら、まずは驚くのが普通だろうし、相手がどんな人間かもわからないのに、いきなり襲うなんて、アホすぎる。

いくら不破の指示であるとは言え・・・

しかも、問答無用で散々殺戮しまくっているくせに、なぜか一部の生徒だけ人質にする。

誰に対する何のための人質なの?

特に、山崎紘菜演じるヒロインは、なぜかその後も一人だけ人質として連れ回される。

殺されることもなく、高校生たちに対する条交換件提示をするわけでもない。

ただただ、主人公を怒らせるためだけに人質にされている!?としか思えない扱いだ

別に今川方だというわけでもないのだから、全員ひっとらえるか、でなければ全員殺戮するのが普通だろう。

実際、その後に現れた松平元康勢は、得体が知れないので全員捕縛する。

さて、ここで主人公の出番だけど、こいつは織田方によって、今まさに仲間が殺されかけている、というのに、得意の弓矢さえ射ることがではないチキン野郎だ。

まるで、昨日見た「エヴァンゲリオン」の碇シンジみたいなヤツだ。

にもかかわらず、元康に対して「人質奪還」を言い出す。

このあたりの展開もよくわからないが、この主人公を演じた新田真剣佑。

ちょっと前に見た「カイジ」にも出ていたが、とにかく表情がまったくなく、そもそも目がほぼ死んでいる上に、セリフ回しも下手くそなので、まったく感情移入ができない。

こんなチキン野郎なのに、なぜか元康は「お前はいい目をしている」などと言って、主人公の申し出を認めたりするものだから、もうコントにしか見えない。

さて、こうして高校生のトップアスリートたちが、人質がいる織田方の城に行くのだけど、相手は500人いるそうだ。

あの「戦国自衛隊」では、戦闘ヘリや機関銃まで総動員しても結局勝てなかったのに、こんなガキが何人集まったところで、勝てるわけがないだろう。

ボクシング・空手・フェンシングなら、もしかしたら勝てるかも知れないので、まだわかる。

それ以外のスポーツって、役に立つか?

まず野球部。

敵に硬球を投げつけていたが、相手は甲冑を身に着けている武士だ。

顔面に当たるならともかく、硬球にいくら当たったって、たいしたダメージは与えられないだろう。

しかも、最後には硬球が尽きてしまうのだけど、どうして石を投げないの?

あと、金属バットをほとんど使わないのはなぜ?

こいつら、みんな頭ん中が筋肉なのか?

そして、アメフト部。

プロテクターを身に着けているからと言って、スクラムを組んで敵に突進するのだけど・・・

相手は槍を構えてるんだぞ。

ぶち当たる以前に、槍で突き刺されて終わりだろう。

まあ、たまたま相手がみんな避けてくれていたので、何とか中央突破はできていたが、それでもただ進んでいるだけなので、相手を殺すなんと、とてもじゃないけどできない。

さらに、仲間がやられると、その都度全員が集まって「〇〇(仲間の名前)~!!」とか叫びながら号泣するんだけど、そんなことしてたら次々にやられてしまうのだろうに。

人質にされていた恋人を助け出したボクサーなどは、助け出した後、恋人にキスを迫った上に、「いいだろう?」「ダメよ」みたいなやり取りまでしていたけど・・・こいつらバカなの?

まあ、たまたま相手が、号泣したりイチャチャしている間待っていてくれたからいいようなものの、普通あっという間にやられてしまうだろう。

とは言え、何とか「壱の曲輪」を突破したのはいいとして、次の「弐の曲輪」には、もっとも武士が集まっている場所。

ここをどうやって切り抜けたのか、たいした描写もないまま、一気に人質のいる「参の曲輪」まで辿り着くのだけど、そこでとうとう敵に囲まれてしまうが、そこに突如として松平元康の軍勢が現れる!

・・・って、こいつらどこからどうやって入ってきたの?

しかも、敵方とチャンバラをしながら現れるのではなく、最初からそこにいたかのような登場のし方だったので、唖然としてしまった。

しかし、後の徳川家康となる松平元康が、すでに織田信長の家臣となっていた不破(ここでは簗田政綱と名乗っているが・・・)によって殺されてしまう。

ここで、何となくその後の展開が読めてしまうのだけど、そもそもこの不破という男は、何のために歴史を変えようとしていたのかが理解できない。

最終的には、主人公と不破との一騎打ちになるのだけど、どう見ても不破の方が力が上なので、ここはヒロインである山崎紘彩が、同じく弓の名手として側面援護するのかと思っていたが、ヒロインはあっさりとやられてしまう。

はあ?と思っていたら、怒りに燃えた主人公が突如強くなって、不破が隙を見せたわけでもないのに、一瞬のうちに不破を倒す。

シンジ君みたいに、もしかして「覚醒」でもしたの?

予定調和だとしても、もっとヒネりがほしいところだ。

さて、この間に、校舎に残っていた連中が、もといた時代に戻る方法を見つけて、その準備をしていたのだけど、「カミナリ」が落ちる時間まで、あと少ししかないのに、主人公とヒロインはまだ敵方の城にいるため、どう考えても間に合わない。

と思っていたら、突如馬に乗って現れた!

いや、いつの間に乗馬ができるようになったの?

というより、あんなキャンター程度の乗馬で、歩いて4時間の道のりに対してあと30分しか残っていないのだから、どう見ても間に合わないだろうに、なぜかギリギリ間に合う。

助かった、ということころで、なぜか主人公が「オレはここに残る」と、意味不明なことを言い出した。

いや、残ってどうするの?ということは、読めているのとは言え、自分が死んだ松平元康に成り代わる、という展開は、いくに何でも無理がありすぎ。

元康が殺された場面には、懐刀とも言える本多正信がいた。

この時代、大名になれるのは、強い・弱い、勇気がある・ない、でなく、家柄がすべてだ。

こんなどこの馬の骨とも知れないガキが、元康に成り代わって大名になんかなれるわけがないだろう。

マンガでは、そのあたりを「名家の娘を娶った」というようにしているようだけど、それにしても無理があるし、そもそも本多以下の家来たちが、こんなヤツを殿として迎え入れるわけがない。

不破自身も、どうしてあそこまで成り上がれたのか不明だが、力もあり知恵もある不破であれば、人を蹴落とす野心もあるので、可能性としてはなくもないが、チキンだしリーダーとしての素質もない主人公が、その後徳川家康になるのは、荒唐無稽と言うよりも、単に面白くない。

不破が、主人公をわざわざ呼び寄せるためにやった、みたいなことを言っていたような気がしたが、まず主人公にそのような資質のあるヤツには見えなかったし、そうする理由が明確になるような描写すらなかった。

さて・・・

最後の場面では、元の世界に戻った学校が描かれ、教室でヒロイン・山崎紘菜が、「若い頃の徳川家康の肖像画が見つかった」として、主人公その人の肖像画が描かれていたのを見て「ふふっ」となるシーンが流れるだけど・・・

戦国時代にタイムトリップした時に、仲間の大半だけでなく、先生も全員殺されているんだぞ。

帰ってきた生徒たちも精神状態は普通じゃないだろうし、普通に学校が再開されるなんてあり得ないだろうに、監督はいったいどういうつもりで、こんなシーンを撮ったの?

もしこういう形にしたいのであれば、実は人質は全員無事でしたとか、そもそも誰も殺されませんでした、みたいな展開にしないとおかしいだろう。

とにかく違和感バリバリだ。

あと、ネットで指摘されていたことだけど、タイムトリップしたせいで、当然のことながら携帯電話は使えない。

なのに、なぜか高校生がタブレットを使っていた。

ちょっといいかげんすぎるだろう。

そんなこんなで、開始早々から「しまった。見るんじゃなかった」と思える映画もそう多くはない。

その原因は、設定・展開のムチャクチャさもあるが、とにかく出演者たちの演技がヘタ!

新田真剣佑をはじめとして、高校生役の役者はロクなのがいなかった。

まるで高校の学芸会でも見るような感じで、学芸会なら終わった後に拍手喝采かも知れないが、大人の映画でこのクオリティはないと思う。

いつもはそんなに演技がうまいと思ったことはない松山ケンイチや、三浦春馬に対して存在感を感じてしまうほどだ。

ということで、映画評1000本を目前にして、こんな映画評を書くことになろうとは思ってもみなかったけど、ここまで文章がスラスラと出てきたのも久しぶりなので、評価としては、当然のごとく「D」にします。

もう年末で特に取り上げるネタもないと思うけど、その後何か思い出したら、また書きます。

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