
用事があって徳島市へ行った。
さあ何年ぶりだろう。
香川から来て、吉野川に架る橋を渡る時に一番美しく見える眉山。
この山を見ると、徳島だと感じる。
今日は徳島は夏日。28度もあった。
この街に持っていたマンションも手放したのだ。
これで徳島との関係は全て無くなった。
夫が役所で用事を済ませる間、徳島の名刹「瑞巌寺」で車を降ろしてもらう。
ここは、徳島を離れて、20年も来ていない。
昔のままの風情で少しも変っていない。いつもの友人の声がしそう。

板鼓を打てば、眉山の谺となって返ってくる。そんな思いがする。

眉山からの伏流水が流れ出ていて、お水が大変に美味しく、お茶会がいつも催されている古刹である。
よく吟行に来ていた場所でもある。
夏の鶯が啼いていた。

このお家は瀬戸内寂聴さんの徳島のお屋敷である。
表札の「寂聴」という文字が消え、黒ずんだ古い表札になっていた。
以前は「寂聴」という文字が藍色ががった墨の文字で、なめらかに力強く元気があって踊っているような感じであった。
以前は開いていた門も閉じられている。

故郷は少しづつ様変わりをしていた。
寂聴さんの家の前を通り瑞巌寺へ行くこの路。
徳島では一番の高級住宅地である。
今もそうであるらしいが、古い家は建て替えられて、徳島で一番の料亭が無くなり高級マンションになっていた。
徳島にいる時は機会があれば仲間とグルメな店に行っていた。大きなホテルでは、ある結社の俳句大会があったり、想い出の深い場所が、そんな懐かしい場所が集まっているのがこの周辺であった。
初めて訪れた旅先の町、まるで浦島太郎になったみたいであった。
最後は用事を済ませた夫が
「どこか行きたいか?」
「それじゃ、服の生地屋さんに連れて行って」
いつものパターンで、徳島観光を終えた。
🍒 齢七十生き方模索する五月
🍒 故郷の緑美し溺れけり
🍒 巌清水翔鳳と名をいただきて
🍒 異邦人たる吾に優し風の香よ