老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

       親しき中にも礼儀あり

2018-05-18 11:09:32 | 俳句
         


 朝、玄関を開くと、蚕豆が届けられていた。
ビニールの袋に山のように入っていた。
朝早くから畑で収穫したのを、運んで下さったのであろう。
莢には露が残っているのもある。

         

 いつも蚕豆を下さった方の働く姿を見ている。
毎日の努力に頭が下がる。畑も家の庭にも塵一つ落ちていない。とても真似はできない。
僕から、畑仕事を取れば何も残らないが、口癖である。

それなりに年齢を重ねているから、身体のあちこちにガタがきて、医者に通っているのも知っている。
最近、畑で奥さまと、畝と畝の間に低い椅子を置いて何かをやっているのが見えた。

お家に伺かがった時、何の作業をしていたのか聞いてみた。
茄子の苗だか、何だったか、一人でやるより、奥さまと一緒だと仕事が、はかどると云う答えが返ってきた。
咄嗟に、あれは駄目ですよ。
「奥さまは週に三回、腎臓の透析に通ってるんでしょう。土地からの冷えが上ってきて、奧さまの体ににはよくないんじゃないの」
と言ってしまった。
親しい間がらとはいえ、口がすぎたか?とおもったが、それを聞いていた奧さま。
「いやだと断るとみょうな顔をするし、さあ行こうといわれてしぶしぶ行くのよ」
「大切な奧さまに何かがあれば困るのは旦那様でしょう」と弁解をしたが、、、、
奧さまには
「良く言って下さった」と、手を握って喜ばれた。涙ぐんでいた。

次に、旦那さまに合った時
「家内には畑仕事はさせないようにしました。有り難うございました」と云われた。


「親しき仲にも礼儀あり」だとは思うけれど、齢を取れば色々なハンデがあり、夫婦も、生き方の転換を迫られる。

蚕豆、有り難うございました。
まあ、出すぎた事を言ってしまったが、今でどおり、親しいお付き合いが続いている。



       🍒      蚕豆の莢割れば靑き香のとんで

       🍒      山のやう蚕豆の皮剥き楽し

       🍒      ひと加減の塩蚕豆は母の味

       🍒      そら豆の産毛のやうな莢の部屋

       🍒  そら豆に昭和の匂ひありにけり

       🍒      そら豆や元号代はる日も近く

            

                 
コメント
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