コナサン、ミンバンワ!梅雨終盤の不安定な空模様、時に強い降雨もあった本日の当地名古屋だが、今夕、勤務先よりの帰途、車上より今年初めて蝉の声を聞いた。優れぬ天候だが、夏はもうすぐそこまで来ている様である。尤も、半端でない暑さを思うと、梅雨空とは一長一短の争いの様な気がするのも事実である。
近頃、大きな話題になるのが、滋賀・大津の中学生自殺事件に絡む、重大ないじめ問題の存在だろう。いじめ自体は、それこそ昔よりあり、拙十代の頃も、少しくそんな体験がある事は認めるが、あの頃と今とでは、やはりいじめの質が大きく変わって来ているのではないだろうか。俺の餓鬼時分は、いじめる側も「ここから一線を超えてはならない」と言う、最後の所で自制が効く所があったのだが、近頃のそれは、そうした制動が効かず、相手が致命傷を負うまでイケイケになってやり過ぎてしまう所がある様に見受けられる。その最悪の結末が、前述の自殺事件ではないだろうか。自殺した中学生をいじめた相手は、大津市の有力者の子弟が主だったとかで、あるいはそれが、多くの生徒達の証言があったにも関わらず、いじめと事件の関連を曖昧にしようと図ったと思われる、同市教育委や、被害届をまともに受理しようとしなかった滋賀県警の不良姿勢に繋がっていたのかも知れない。今日などは、遂に同警察が市役所や当該学校の捜査に乗り出した様だが、是非共徹底した調べの実施を願いたい。教育とはも基本的には親子の問題だろうが、この様な事件を生じた以上、大切な子弟を預かり、その将来を左右する教育を実施する公的機関の問責に踏み込むのは当然だろう。
さて、梅雨読物の「五条河原落書」の今夜は第10話。夜間の見回りを供の衆に引き継ぎ、上方より遅くに戻った偽!大黒と、寝酒を兼ねて夜遅い馴染み処に落ち着いた偽!義経。どうやら偽!弁慶の留守宅踏み込みは、翌日に延びる様である。
偽!義経「上方への往来、お疲れ様でした。お楽しみ話を伺いたいのは山々やが、それは明日にでもって事で、隣の大津にては、遺憾な事が起きましたな。」
偽!大黒「ああ、中学生の自殺事件やろ。あれなあ、生徒の多くが『いじめの事実有り』って証言しとるのに、教育委とかが関連を否定したり、揚句隠蔽しようとしとる節があるのは、ホンマ遺憾やな。」
偽!義経「まあ学校側、教育委側、そして自殺生徒の親御がご相談になった警察当局のいずれもが、真っ向から取り合わず、それぞれが庇い合ってる印象もありますな。こんな事では、これからも、いじめられた側は、どこに相談して良いかも分らぬ。『取りつく島もない』ってのは、この事ですな。」
偽!大黒「まあ基本として、教育ってのは親子の問題なんだよな。古の我々にしたって『読み、書き、算盤』言うて、大人になる為の基本の事共は、そりゃ学校やその前身の寺子屋なんかで学んだものやが、人としての基本は、親の生き様より学ぶって所が大きいのは、そなたも知ってるやろ。ただ、もう一つの意味として、学校は『この世で一番安全な所』のはずなんや。そやから、親御達も安心して子弟達を通わせる事ができなあかん。それができてないのが、今の学校だよな。」
偽!義経「学校の安全が保障されな、落ち着いて学問を修めたり、心身の鍛練を行う事も叶いませぬ。だからこそ、学校関係の各位は、一度こうした重大ないじめ事件が生じたら、徹底的に原因を調べ、指導方針とかの見直しを速やかに行って、再発の防止を図らんといけません。此度の大津市の関係は、どうもそうした所が希薄な印象なのが遺憾です。」
偽!大黒「先生方の及び腰姿勢も、余り改善されておらん様やな。何でも『事なかれ主義』に陥り、結果、本当に必要なのに生徒を叱ったり、問題に取り組むのに強い信念を打ち出す事が余りない様だ。まあ保護者に対しても然りで、先日の件の様に、いじめ側の親が地元有力者だったりすると、弱腰対応になったりする訳やな。」
偽!義経「それと、以前に比べ、いじめの実態も変わった様ですね。昔なら、いじめられる側の事も考え、最後の一線を越えない思考もあったのやが、最近のいじめは、それが希薄や思います。方法は悪質巧妙になる一方で、一握りのモラルも感じられないってヤツですな。個人のエテ勝手を助長して来た、戦後レジームの悪弊かも知れまへんが。」
偽!大黒「先の大戦の時も多分にそうやったらしいが、どうも我々日本人は、集団で調子をこくと、言わば『イケイケ』状態になっちまって、自制が効かなくなるってとこは、大人にもあるのは事実や。それに戦後は、祖国日本の正当な誇りさえ、否定しようとする様な風潮もあって、その悪い見本を、子供達が真似しちまってるって所はあるやろうな。」
偽!義経「まあつまり、子供達を見守る大人達が、明らかに事件レベルになった時、どこまで真摯に現実と向き合えるかが、そうした問題を片付ける鍵なんでしょうな。」
偽!大黒「まあ、一つはそんな所やろうな。要は『子は親の鏡』って事で、『子供達の問題は、即ち大人達の問題』言う事や。って所で、日付が変わってもうた。義経、弁慶んとこは、今日夕方にするか?」
偽!義経「それが良い。それがしは同意であります。ついでに、お楽しみ話も伺いたいですな。」
偽!大黒「ああ、分った。そいじゃ、今夕 申(さる)の刻に五条の橋上でどや?」
偽!義経「心得ました。」 ひとまず、解散・・・。
以下次号。本編は、フィクションであります。
偽!大黒