盆の頃となったが、日中の猛暑は相変わらずだ。ただ、今月初より雲が出易くなり、熱中症の多数発生が懸念された 甲子園球場にて開催中の、高校野球夏季大会参戦及び応援は、少し安心といった所か。とまれ、高温の傾向が変わった訳ではない。試合に臨む選手と応援の各位は、最後まで警戒を緩めず、無理は避け 水分補給や休養などを適切に行う様 お願いしたい。もう一つ、明日は平成最後の「終戦記念日」。大東亜戦争こと太平洋戦争の犠牲となった戦没及び戦災犠牲各位に、改めての厳粛な弔意を表したく思います。
さて本題。一昨日夜 大阪府警察本部・富田林(とんだばやし)署にて勾留中の、複数の罪責を問われた男性容疑者の逃走事件。署員の態勢が手薄な日曜夜の、弁護士接見後を狙っての犯行ではないかとの指摘もあり、大阪府警は 1000人以上規模の捜査態勢で行方を追うも、未だ確保の情報はない。これまでの報道を見る限り、明らかに富田林署の 深刻な対応不備による事は明らかだ。
刑事訴訟法の規定により、犯罪容疑者が弁護士接見に臨む時は、立会人なしで可能とされ 面会室に警察官は在室しない決まりだ。それは良いのだが、警戒の手薄になりがちな土休日といえど、不測の事態を想定し 接見時の会話が漏れない事などを条件に、隣室に警察官が待機できる態勢にすべきだったろう。大阪府警は管内全 65署に対し、この改善を直ちに行う様指示を発した由だが、従前から行われるべきだっただけに、後手の印象は免れない。又、接見弁護士に対し、終了時は警察官向けに告知させる決め事もなく、当該弁護士は終了時、隣室の警察官が不在だった為、告知せず引き揚げたという。
周辺住民各位への告知も遅かった。事件より数時間以上経った、翌日未明だったというではないか。その間、富田林署周辺に住む方々は、再犯の恐れ多い容疑者の標的にされる可能性も捨てきれなかったのである。事件の影響で、地区の保育所を含め、夏休み行事の複数が中止されるなど、マイナスの事象も少なくない。何よりも、子ども達を安心して遊ばせる事もできない治安のあり様は、決して警察署が原因になってはいけない。
もう一つ、弁護士初め面会者が退出時 出入り扉にブザーが備わり、鳴動する仕組みが内規されるも、当時は電池が外され動作しなかった事も分かっている。理由がいけない。以前 今回とは別の容疑者が面会時、騒音を理由に文句をつけた為 電池を外したとか。これは、全容疑者との向き合いの公正を欠く不良姿勢だ。内規で決まっている以上、一部の文句で 動作させないなどという事は、いわば今年前半 国会で問題視された「行政を歪める事」の身近な例だ。決してしてはならない対処ではないか。
当該容疑者は、面会者とを隔てる アクリル製透明仕切り板を、接見弁護士退出後に、足で蹴るなど破損させて隙間を広げ、施錠されない面会者側の出入り扉から逃げ、約 3mの高さがあるコンクリ塀も、たまたま近くにあった脚立を利用して乗り越え、逃げおおせた由。不備と失態が重なった 今回の逃走劇は、大阪府警の面目と信頼を大きく損なう可能性がある。加重逃走を生じた事の、周辺住民各位への告知が遅れた事は 住民の安全軽視と見られても仕方がない。
それらを踏まえた上で、唯一警察側の立場が一定理解できるとすれば、それは性善説の跋扈だろう。警察官達の思考が「逃走などするはずがない」とする善意の呪縛に支配されていなかったか?「全てを疑う」という、警察の思考の本分が疎かにされていなかったか?一度謙虚に、厳正に振り返り 検証する必要があろう。逃走犯確保も大事は分かるが、こうした不祥事的事案の再発防止には、性善説からの脱却も必要ではないのか。この事の実行が、警察以上に難しいのが弁護士勢力だろう。最早 弁護士法の冒頭に定める「弁護士活動の一は、社会正義の実現」の下りは とっくに空文化している。例えば 明らかに大きな罪責を負う凶悪犯との向き合いにしても「被告人の利益」に拘泥する余り、社会正義に与し得なくなる所は、度々見られるものだ。
日本国憲法でもそうだが、守れぬなら、弁護士法も 勇気を持って改正すべきだろう。法律を初め 決め事はすべからく時代と共に変わり、見直されるべきものであり、ITの世界でいわれる「アップ・デート」が不可欠だからだ。前述事件の再発防止には、のさばり過ぎた「夏ボケ」の様な性善説の見直しと、それからの脱却が是非共必要と 強く思う。今回画像は、先年 新潟・福島県境で向日葵(ひまわり)と共に迎えた JR磐越西線を行く 蒸機列車の様子。今季はメカの具合が悪いとかで早めの休養に入り、残念ながら年内は 復帰が難しい様です。