はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

国立西洋美術館で、じっくり作品を見たいなら…

2016年09月18日 | はなこのMEMO
 「世界遺産」狂想曲に沸く現在の国立西洋美術館で、以前のようにじっくり作品鑑賞を楽しみたい方には、金曜及び土曜の午後5時もしくは5時半以降の来館をオススメする。

 夕方になると、それまでの喧騒が嘘のように、潮が引くように人波が消えて、かつての静寂を取り戻す(と言うことを昨日知った)

 「世界遺産」登録後の混雑を見越して、美術館では従来の金曜日に加えて土曜日も常設展示室のみ午後8時までの開館時間の延長を始めたので、土曜日の夜間などねらい目ではないだろうか?(入館は午後7時半まで)

 また金曜日にはボランティアの発案で、金曜ナイトトークも今年度から始まったので、近隣の方は仕事帰りにでも立ち寄ってみてはいかがだろうか?詳しくは美術館のホームページで確認いただきたい。

chain国立西洋美術館美術トーク&建築トーク案内


 昨日は「どようびじゅつ」と言うファミリープログラムで、終日、美術館にいた。

 朝、8時前に家を出て、9時過ぎには美術館で午前の回の準備作業をスタート。午前、午後とふたつのプログラムをこなし、プログラム終了後はワークショップルームの清掃と次回のプログラムの為の材料の補充、反省会と一連の作業を終えると午後5時を過ぎていた。

 土曜日も平日と変わらず、終日複数のツアー客が大挙して訪れ、大混雑であった。そのせいで、「どようびじゅつ」のプログラム実施にも支障を来すほどであった。

 まず、美術館とは思えないほどの喧騒で、少しでも離れるとトーカーの声がまるで聞こえない。移動時にもターミナル駅のコンコースを歩くような混雑で、人の間を縫うように歩くしかなく、いつも以上に時間がかかる。誘導する私達も幼い子どもが迷子にならないかとハラハラしている。

 観察するに、ツアー客の多くは作品ををじっくり見ることは殆どしない(せめて限られた滞在時間の中で1点でもお気に入りを見つけてじっくり見て欲しいところ)。全体を眺め回す感じで、中央付近をかなりゆっくりとしたペースで横並びで歩くか、有名作品の写真を撮ることに執心して、結局、肝心の作品を自身の肉眼で見ようとはしない。

 とにかく残念なのは、美術館に来ているのに、作品をちゃんと見てくれないことだ。声高にしゃべって、周りの迷惑を一顧だにしてくれないことだ。喧騒に紛れて携帯電話で話をしている人もいる。以前には考えられなかったことだ。

 今回のファミリープログラムは「世界遺産」登録に因んで建築にフォーカスしたプログラムだったので、美術作品前での直接的なツアー客との接触は避けられたのだが、この状態が今後も続くようでは、従来の作品鑑賞をメインとしたファミリープログラムの実施は難しいかもしれない。

 「世界遺産」登録を是とする世の大勢(たいせい)?に抗うようだが、つくづく美術館の建物が「世界遺産」に登録されることの弊害を感じずにはいられない。

 このところの「カオス」としか言いようのない国立西洋美術館の常設展示室の状況は、美術館とは何なのか、美術館の本来の役割について改めて考えさせられる”事件”と言える。
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