先日、病院の帰りに駅前のバスターミナルでバスを待っていたところ、待ち行列の先頭に立っていた私は、斜め背後から声をかけられた。
「すみません。ここは○○行きのバス停ですか?」
振り返るとメガネをかけ、杖をついた30代くらいの小柄な男性で、視線を空に向けていたので視覚障害者に見えた。
確かにそこは○○行きのバス停だったので、「そうですよ」と私が答えると、「次は何分のバスですか?」と聞いて来た。時刻表によれば2,3分後にはバスが来る予定だったので、その通りに答えた。すると件の男性は、
「それじゃあ、乗るときに肩を貸して貰えますか?ボクは△△で降りたいのですが、そこを通りますよね」と言うので、私はバスの出口に最も近い優先席に彼を案内すれば良いと解釈して、「ええ、肩ですね。良いですよ」と請け合った。
それからバスから来るまでの間、件の男性は「今、外はどれくらいの明るさですか?」とか「暗くなったら全然見えなくなるんですよ」と、今にして思えば、自身の障害の程度をアピールするような話ぶりだった。
ほどなくバスが来て、肩を貸し、段差への注意を促し、バスの中程にある優先席へ案内すると、「いや、そこは嫌だ。二人席で一緒に座りたい」と言う。バス後方部分の二人席ゾーンに行くには段差があるし、どう考えても優先席の方が出口に一番近く、ゆったりとしたスペースで乗り降りには便利だ。そもそも住宅街の中を走るミニバスの狭小で窮屈な二人席が嫌いな私は(本当に横幅も奥行きもとんでもなく狭くて、長身の夫は足が収まらないし、タイヤハウス上の席なんて座るのも立つのも一苦労)、家族と一緒でも一人席に座るのが常。ましてや見知らぬ男性と一緒になんて、立っていられないくらい体調が悪い状態でもない限り、絶対嫌だ。
あまりにしつこいので、「私はひとり席にいつも座りますので」と私がきっぱり断ると、その男性は何やらブツブツ言いながら慣れた足運びで段差を跨いで、私の席のすぐ後方の二人席にひとりで腰かけた。そして、私の座席とその人の座席の間にある仕切り壁に、L字型に折りたたんだ杖の持ち手を引っ掛けた。前方に大きくはみ出した、その杖の持ち手が、バスの走行中、前後に大きく揺れて私の後頭部を何度も直撃した。何だか、彼の言葉に従わなかった私への悪意が感じられたのだが、考えすぎだろうか?
内心少し腹が立っていたし、バスの車内アナウンスもあったが、バスがその男性が降りると言うバス停に着いた時には、一応「△△に着きましたよ」と声をかけた。男性は「どうも」と言って降りて行った。
一連の出来事に何となく釈然としなかった私が、この一件を帰宅した夫に話したら、何と夫はバス停で同じような場面に何度か遭遇したことがあると言う。その時は女子高校生だったらしいが、しつこく言い寄る男性を、女子高校生は巧くかわしていたらしい。夫の目にも、男性の態度は奇妙に見えたそうだ。「新手のナンパなんじゃないの?はなこも女子高校生に見えたのかね」と夫は笑っていたが、私は笑えなかった。いつも利用しているバスなら、他人の手助けなんて要らないのでは?
もしかしたら、件の男性は話し相手(しかも異性の?)が欲しかったのかもしれないが、常識的に見て、一般の女性は、初対面の見知らぬ男性と気易くおしゃべり等しないだろう。
私は普段、老若男女関係なく困っている人を見かけたら、自分のできる範囲で手助けはするよう心がけている。しかし、振り返ってみると、その親切心?につけこまれて、変な人につきまとわれたことが過去に何度かあった。それはバイト先のファーストフード店のお客さんだったり、学園祭に来た他大学の学生だったり、たまたま電車で乗り合わせた外国人だったり。そういう不快な事態に遭遇すると、親切心は仇になるのかと心が萎える。本当に助けを必要としている人にも疑いの目を向けてしまうようになるのではと危惧する。
とは言え、一部の悪意?(下心?)を持った人のせいで、誰も信じられなくなったら哀しい。相手がどんな人かの見極めは難しいかもしれないが、その場でサポートを必要としている人(本当に困っている人)がもしいたなら、今後も自分ができる範囲で手助けはして行きたい。
「すみません。ここは○○行きのバス停ですか?」
振り返るとメガネをかけ、杖をついた30代くらいの小柄な男性で、視線を空に向けていたので視覚障害者に見えた。
確かにそこは○○行きのバス停だったので、「そうですよ」と私が答えると、「次は何分のバスですか?」と聞いて来た。時刻表によれば2,3分後にはバスが来る予定だったので、その通りに答えた。すると件の男性は、
「それじゃあ、乗るときに肩を貸して貰えますか?ボクは△△で降りたいのですが、そこを通りますよね」と言うので、私はバスの出口に最も近い優先席に彼を案内すれば良いと解釈して、「ええ、肩ですね。良いですよ」と請け合った。
それからバスから来るまでの間、件の男性は「今、外はどれくらいの明るさですか?」とか「暗くなったら全然見えなくなるんですよ」と、今にして思えば、自身の障害の程度をアピールするような話ぶりだった。
ほどなくバスが来て、肩を貸し、段差への注意を促し、バスの中程にある優先席へ案内すると、「いや、そこは嫌だ。二人席で一緒に座りたい」と言う。バス後方部分の二人席ゾーンに行くには段差があるし、どう考えても優先席の方が出口に一番近く、ゆったりとしたスペースで乗り降りには便利だ。そもそも住宅街の中を走るミニバスの狭小で窮屈な二人席が嫌いな私は(本当に横幅も奥行きもとんでもなく狭くて、長身の夫は足が収まらないし、タイヤハウス上の席なんて座るのも立つのも一苦労)、家族と一緒でも一人席に座るのが常。ましてや見知らぬ男性と一緒になんて、立っていられないくらい体調が悪い状態でもない限り、絶対嫌だ。
あまりにしつこいので、「私はひとり席にいつも座りますので」と私がきっぱり断ると、その男性は何やらブツブツ言いながら慣れた足運びで段差を跨いで、私の席のすぐ後方の二人席にひとりで腰かけた。そして、私の座席とその人の座席の間にある仕切り壁に、L字型に折りたたんだ杖の持ち手を引っ掛けた。前方に大きくはみ出した、その杖の持ち手が、バスの走行中、前後に大きく揺れて私の後頭部を何度も直撃した。何だか、彼の言葉に従わなかった私への悪意が感じられたのだが、考えすぎだろうか?
内心少し腹が立っていたし、バスの車内アナウンスもあったが、バスがその男性が降りると言うバス停に着いた時には、一応「△△に着きましたよ」と声をかけた。男性は「どうも」と言って降りて行った。
一連の出来事に何となく釈然としなかった私が、この一件を帰宅した夫に話したら、何と夫はバス停で同じような場面に何度か遭遇したことがあると言う。その時は女子高校生だったらしいが、しつこく言い寄る男性を、女子高校生は巧くかわしていたらしい。夫の目にも、男性の態度は奇妙に見えたそうだ。「新手のナンパなんじゃないの?はなこも女子高校生に見えたのかね」と夫は笑っていたが、私は笑えなかった。いつも利用しているバスなら、他人の手助けなんて要らないのでは?
もしかしたら、件の男性は話し相手(しかも異性の?)が欲しかったのかもしれないが、常識的に見て、一般の女性は、初対面の見知らぬ男性と気易くおしゃべり等しないだろう。
私は普段、老若男女関係なく困っている人を見かけたら、自分のできる範囲で手助けはするよう心がけている。しかし、振り返ってみると、その親切心?につけこまれて、変な人につきまとわれたことが過去に何度かあった。それはバイト先のファーストフード店のお客さんだったり、学園祭に来た他大学の学生だったり、たまたま電車で乗り合わせた外国人だったり。そういう不快な事態に遭遇すると、親切心は仇になるのかと心が萎える。本当に助けを必要としている人にも疑いの目を向けてしまうようになるのではと危惧する。
とは言え、一部の悪意?(下心?)を持った人のせいで、誰も信じられなくなったら哀しい。相手がどんな人かの見極めは難しいかもしれないが、その場でサポートを必要としている人(本当に困っている人)がもしいたなら、今後も自分ができる範囲で手助けはして行きたい。