
自宅を出たのが昼過ぎと少し遅かったので、最後は予定の森鴎外記念館には残念ながら行けなかったのですが、薫風そよぐ5月らしい爽やかな陽気で、気持ち良く歩くことが出来ました。
最初に駅近くの花家食堂で、遅めの昼食をとりました。寺町である谷中には数多くの寺があり、すぐ近くには谷中霊園もあります。墓参り帰りの方々がよく利用する食堂なのでしょうか?
店内はレトロな佇まいながら、掃除がよく行き届いていて、心地良い空間でした。年配女性がキビキビと働いておられたのが印象的。また、橋爪功、関根麻里、ブラック・マヨネーズ等、有名タレントのサイン入り色紙が、壁にずらりと掲示されていたのも、どこか懐かしい"昭和の雰囲気"を漂わせていました。


夫のレバニラごはんはともかく、私の五目固焼きそばは大皿にどーんと盛られていて、かなりボリューミィ

具も五目どころではなくて、十目はあったと思う。煮豚の薄切りやら、卵焼きやらも入っていて、ラーメンや中華丼や八宝菜と言った別のメニューの具材をちゃっかり?流用しているようでした。
そういう大らかさと言うか、合理主義って、昔ながらの食堂らしいですね

固麺(揚げ麺)の上に具材たっぷりのあんかけが乗っているので、長崎の皿うどんを彷彿とさせますが、味はかなり薄味で、途中でソースを頼んだほどでした。しかし、そのソースがウスターではなく中農ソースで、私が求めた味とは少し違ってしまいました。ハハハ


以前から気になってはいたものの、なかなか行けずにいた朝倉彫塑館にも、今回行ってきました。元は彫刻家、朝倉文夫の自宅兼アトリエだったのを、現在は台東区立朝倉彫塑館として公開しています。
朝倉文夫が自ら設計し、昭和10年に完成したと言う建物は、アトリエ部分が鉄筋コンクリート造、住居部分が数奇屋造りと、和洋折衷な造りとなっていますが、アトリエのホールに展示された朝倉の作品をはじめ、天井の高さまで設えられた書棚が圧巻の書斎、巨石を配し、池には大きな鯉が悠々と泳ぐ中庭を取り囲むようにして建てられた住居(階段の手すり一本にさえ、朝倉の拘りを感じます)の美しさに、ただただ見惚れるばかりでした(館内は撮影禁止)。
アトリエの屋上には、当時としては珍しい(と言うより斬新?)な庭園が造られており、下階からやや急な階段を上った正面には堂々たる1本の木が根付いていて、まず、その威容に驚かされます。他に花や野菜などが、現在でも栽培されているようです。



この寺は弘法大師ゆかりの寺でもあり、大師堂の脇に植えられたツツジが、今を盛りと満開の美しさでした。
同じ谷中でも区画によって花の時期もかなり違うようで、他のところでは既に開花時期が過ぎて枯れた木が多く、これだけ美しいツツジは、殆ど見られませんでした。
とにかく花の色が鮮やかで、緑の葉とのコントラストも鮮やかで、花びらにも張りがあり、瑞々しさに溢れていました。全体の形の美しさを見ても、日頃からの手入れが行き届いているのが窺えます。


途中で見かけたヒマラヤ杉の巨木。隣家に接して立つこの木は、根元もアスファルトに覆われ痛々しい限りですが、それが却って、この木の逞しい生命力を感じさせます。


住宅街の、あるお宅の玄関先で見かけた花。可憐です。

根津神社、正面口。この日は恒例の「つつじ祭り」の最終日でした。私達が到着したのは4時半過ぎで、既に露店が撤収を始めた頃でした。驚いたのは、イマドキの露店商には外国人もいるのですね

なぜか参拝に長蛇の列。せいぜい2~3人の同行者単位で参拝するせいでしょうか?皆さん、丁寧に「二拝二拍手一拝」されるので、人数の割に通常の参拝より時間がかかったような印象です。素朴な疑問として、なぜ、もっと横に広がって参拝しないのかしら、と思いました。この神社だけ、何か特別な決まりでもあるのでしょうか?

さすがに最終日となるとつつじ園も花々が色褪せて、物寂しげな風情です。花の盛りに来れば、きっと目を見張るほどの美しさであったことでしょう。今年は春先からの暑さで、例年になく花の盛りが前倒しになってしまい、どこの花祭りも、恒例の日程での開催には四苦八苦したのではないでしょうか?

最後に訪れたのは、つい最近、テレビの街頭レポートでも見かけた谷中ぎんざ。揚げたてメンチカツで知られるお肉屋さんの店先には、アイドル来店を賑々しくアピールする立て看板があり、正直、ちょっと興ざめでした。もっと素朴な佇まいを期待する方が間違っているのでしょうか?
そう言えば、今回の散歩でも日本語以外に英語、仏語、西語、中国語、韓国語が聞こえて来ました。外国人ツアーの団体ともすれ違いました。定住者と思しき自転車に乗った中国人のグループも見かけました。寺町界隈はともかく、何の変哲もない住宅街を歩く外国人の目に、谷中はどのように映るのでしょうか?私達日本人とは視点が違うのかしら?
途中で、通りすがりの外国人に、柏餅について拙い英語で一生懸命説明している女性の二人連れを見かけました。「え…と、餅って英語で何て言うのかしら?期間限定、季節限定って、えーっと…」。どうやら、親切心で持っていた柏餅を外国人カップルにプレゼントしたらしいのですが、微笑ましい草の根国際交流と言った雰囲気でした。しかし、まあ、もっと英語を勉強した方が良いかもね。このような機会が増えることで、彼女達の英語学習熱も高まるのでしょうか?外国語も使う機会がなければ、学習意欲など湧かないですものね。

先程のトルコ人露天商と言い、中国人自転車集団と言い、東京の国際化は私の想像以上に進んでいるのかもしれません。
それはさておき、お散歩ガイドブックの地図とにらめっこしながら歩いていた夫が、途中から頭痛がすると言い出しました。
意外にも、こうしたガイドブックの地図は結構クセもので、分かり辛いものが多い印象。夫の空間認知能力?の衰えも原因かもしれませんが…。私は地図を読むのは端から諦めて、現場で標識や看板や目立つ建物等、目印となるものを確認してから歩く主義です。
実は、この凸凹コンビが互いの足りない部分を補い合い、協力し合って、時には迷いながら街中を歩き回るのが、散歩の醍醐味であったりします

次は何処へ…
