毎日新聞(2014年2月5日)デジタル版で大変興味深い記事を読んだ。
NHK経営委員になったばかりの長谷川三千子・埼玉大学名誉教授が、1993年に東京・築地の朝日新聞社へ抗議に行き、最終的には持っていた拳銃で自殺した新右翼「大悲会」の野村秋介・元会長の死を悼む文章を、没後20年の追悼文集(2013年10月)に載せていた
。
以下、毎日新聞の記事。
「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」と礼賛。野村氏の行為によって「わが国の今上陛下は(『人間宣言』が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神(あきつみかみ)となられたのである」と憲法が定める象徴天皇制を否定するような記載をしていた。
長谷川名誉教授の論理は次の通りである。
①人間が自らの死を捧げうるのは神に対してのみである。
②野村氏は「すめらみこと いやさか」と3回となえた。
③この瞬間、今上天皇は、日本国憲法がどんな規定をしてようが再び現御神となった。
長谷川氏はもはや教職から引退し名誉教授となっているので、教壇でこのような妄想に等しい非論理的言説を若い学生に吹き込むこともないだろう。
だが、彼女はNHK経営委員である。任命したのは内閣総理大臣で、同意したのは国会である。
内閣総理大臣が何と言おうと、国会はその人事に同意してしまった責任上、長谷川氏の言説を、ただ個人的なもの、として看過することはできなくなった。
毎日新聞によると、追悼文は昨年10月18日に東京都内の会合で参列者に配布された。その後まもなく、政府は衆参両院に長谷川氏ら4人をNHK経営委員会委員とする同意人事案を提示、11月8日に正式同意されている。
籾井、長谷川、次は誰?
(2014.2.5 花崎泰雄)