オスプレイが沖縄・名護市沖の浅瀬で機体を大破する事故を起こした。
沖縄の新聞『琉球新報』は「墜落」と見出しにうたい、翁長・沖縄県知事は「墜落と認識」と語った。一方、本土の新聞やテレビは「不時着」という米軍提供―防衛省経由の用語を使った。
自衛隊の用語では不時着とは航空機が緊急事態に遭遇してやむを得ず着地、着水すること、とされている。
英語圏のメディアは “crash” という言葉を用いた。航空機が不時着あるいは墜落によって大破することという意味である。
*The US Marines have suspended flights of all Osprey military aircraft in Japan, after a crash off the coast of Okinawa island. (BBC)
*U.S. military Osprey aircraft has crash-landed off Japan's southern island of Okinawa, but its five crewmembers were safely rescued. (Fox News)
*The US military has grounded its fleet of Osprey aircraft in Japan after one crash-landed in the sea near Okinawa, in an incident that will fuel further local anger over the US deployment on the island. (Guardian)
*An MV-22B Osprey crashed in shallow water off Okinawa, Japan, on Tuesday, the latest in a series of Marine aviation mishaps. (US Marine Corps Times)
本土の新聞もオスプレイをめぐる用語「不時着」と「墜落」の政治性に気がついたと見えて、脇の甘さを反省したのか、12月14日の朝日新聞は1面トップの見出しを「オスプレイ浅瀬で大破」とし、袖見出しに「集落から300メートル」、その上に「給油訓練中に不時着」と小さく添えた。社会面では「日本政府が安全と言い続けてきた米軍輸送機が、米軍基地が集中する沖縄の海に落ちた」と歯切れよく書いた。「落ちた」とは「墜落」あるいは機体を大破させるほどの「墜落的不時着」の意味であろう。この記事は事故現場を自分の目で見た記者が書いた。
今回の事故が不時着なのか墜落なのか、という技術論はきちんとした調査が終わらないとわからないだろう。オスプレイは事故多発の札付きの機種だ。それが機体を大破する事故をとうとう沖縄で起こしてしまったことが重要で、その原因が墜落か不時着かは2次的な問題である。
(2016.12.14 花崎泰雄)