3月5日、中国の全国人民代表大会が始まった。国家主席の2期10年の任期の制限を廃止するための憲法の改正案が提出された。
習近平国家主席は中国共産党中央委員会総書記であり、中国共産党中央軍事委員会主席でもある。党のポジションについては任期に制限はない。国家主席と党総書記と党中央軍事委員会主席は通常同一人物が兼務する。
中国国家主席の任期制限は毛沢東の個人支配による失政を反省して設けられたが、支配者というものは死ぬまで支配者でいたいものらしい。古代アテネ政治家ソロンの名が高いのも、やるべきことをやったあと、さっさと職を退いたからだ。この賢人にあやかって米国では連邦議会の議員を「ソロン」と呼んでいるが、呼ばれるほどの賢人は、さて、どのくらいいるのだろうか。
米国のトランプ大統領は自身が所有するフロリダのリゾートでのスピーチで「中国は偉大だ。習氏は偉大な紳士だ。彼は今や終身国家主席だ。素晴らしい。いつか我々も挑戦してみるか」と語った、とCNNが伝えた。100パーセントの冗談でもなさそうだ。
日本国の首相の任期については制限がない。自民党が党総裁の任期をそれまでの連続2期6年から、連続3期9年にする党則改正を、昨年行った。2018年に自民党総裁連続2期6年の満期が来る安倍晋三氏に内閣総理大臣を続けさせるのが目的である。
自民党も中国全人代と似た上意下達組織なのだろう、冗談抜きで。
(2018.3.5 花崎泰雄)