やっていたのは結婚披露宴ではなく、時事問題についての政治討論会だったのだから、司会者は出席者の発言内容について敏感であるべきだった。
9月4日のNHKの番組「日曜討論」を見ていたら、自民党の茂木敏充幹事長が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連の霊感商法をめぐる問題の議論の中で、「左翼的な過激団体と共産党の関係、ずっと言われてきた」と発言した。戦後間もなくのころの共産党については、暴力革命路線が話題になっていたし、共産党は現在でも公安調査庁が破壊活動防止法に基づく調査対象団体にしている。
おやおや、共産党はどんな種類の左翼過激団体と感がるのだろうと聞き耳を立てた。討論に参加していた共産党の小池晃書記局長が即座に全く事実無根であるとして、茂木氏に発言の撤回を求めたが茂木氏は無言のまま。
小池氏は翌5日月曜日の記者会見で、茂木発言の撤回を求めたが、茂木氏は発言を撤回する必要を認めなかった。
茂木はどんな証拠をもとに、共産党が左翼過激団体の関係を持っていると言ったのだろうか。公安調査庁から何か重要情報を聴いているのだろうか。興味深い議論になると期待したのだが。NHKの司会者はNHKの解説委員であり、ジャーナリストなのだから、茂木氏に発言をきちんと問い直し、それに対する小池氏にきちんとした反論の時間を与える、討論番組を生き生きと盛り上げるべきであった。
しかし、司会の伊藤氏は茂木・小池発言に興味を示さず、そのままするすると次のテーマに移った。物足りないディベート番組だった。
(2022.9.10 花崎泰雄)