先日見た山田洋二監督の「東京家族」ですが・・・・
最近になっても時々ふと思い出すのです。
思い出すというか、、、、、
気が付いたら映画のある場面のことを考えていた、という方が正確かもしれません
何か心に残っているんでしょうね。
見てるときは、何が何やらよく分からなかったというのが正直な感想でした。
ただのよくある家族の物語、日常がたんたんと映画の中で流れていく。
お母さんが亡くなったりということはありましたが、涙をぽろぽろ流させるような演出も無かったし、ある出来事として淡々と
描かれていた気がします
この映画、何が面白かったのか・・・・・
実は「何が面白いのか、よく分からなかった」、というのが見終わった時の感想。
誰かどこかのごく普通の他人の生活を覗き見しただけのような感じ。
確かに映画の中に引き込まれはしましたが、涙あり、笑いあり、愛と感動、みたいな映画では無かったと思います。
結局、今になってもよく分からないのです
が、今でもある場面の風景や、俳優さんのある言葉がふと脳裏をよぎったりするのです。
それは、相手をいたわる言葉であったり、年老いたら自分もこうなるだろうな、と思わせる言葉だったり、いや自分はこんなことは出来ないなと思う態度だったり、そんな言葉に連動して場面場面の映像が脳裏に甦ります。
今でもよく思い出すのが、最後の場面。
見てるときは「えっ?これで終わりなの?」と思いました。
あっけない終わり方だったのです。
もう少し何かあっても・・・・・・
でも、それが何と言うか、漢方薬のようにじわじわと今になって効き始めています。
なんであそこで終わったのか・・・・
そこからの展開の可能性を無限に膨らませ、映画を見た人が自由に想像できる余地を残したのでしょうか。
もしそうだとしたら、ボクはまんまとその罠にはまってしまっています。
伏線を張ってあるとか、暗示するとか、一切そんなことはことは無く、話が日常の中でごくごく自然に流れていく中で、この流れていく先にあるのがなんとなくこうなんじゃないのかなぁ、という可能性を微妙に漂わせもせずに終わってしまった・・・・
それをよく考えています。
それを考えていると、結局同時にいろんなことを考えているんです
両親のこと、家族のこと、兄弟のこと、素直な心、正直に話すこと、思いやり、老後のこと、、、、、
逆に、それらのことを考えていると、今度は「東京家族」を思い出します。
そうやって頭の中でグルグル回って、結局は結論は出ないのですが、なんだか最後には心の中に温かいものが残るのです。
映画自体あまりに見に行かないのもあるのですが、とにかくこんな風になったのは初めてです。
ボクもやっと大人になったということでしょうか・・・
今なら、昔見て理解不能だった映画も解かるようになってるかもしれません。
・・・・「楢山節考」・・・・もう一度見てみようかな・・・・