ワイキキの海は、実は風が強いのです。
海の中に入って、一生懸命泳いでいたり、遊んでいたりすると、全然気付かない。
それで、その事件は起こりました・・・・
ぼくがビーチボールを抱えて、子供の浮き輪を引っ張ってちょっと沖まで行ったのです。
ワイキキは、白波の立つ所が沖とビーチの手前の2ヵ所あって、その中間地点でのんびりしようと考えたのです。
ちょうど大きなうねりをやり過ごした時でした。
抱えていたビーチボールが滑って、腕の中から「プンッ」と飛び出したのです。
「ありゃりゃ」と、手を伸ばす間もなく、ビーチボールは風に吹かれて海面を滑り出し、見る間に遠ざかっていきます。
一生懸命バシャバシャ追いかけるのですが、とても追いつける速度ではありません。
ちなみに、ボクはあまり泳げませんので、足が全くつかない状況で子供の浮き輪から手を離そうなんてことは考えもしませんでした。
それでも楽観的だったのは、沖にはサーファーの人たちがたくさんいたから。
きっと誰かが拾って届けてくれるものと信じて疑わなかったのです。
そして、ついに一人のサーファーがボールに気付いて拾い上げました。
ここぞとばかりに大声を張り上げます。
「おーい。おーーーーーい!」
気付きません。
「おーーーーーーーーーい!」
気付きません。
想定外です

確かに風や波の音で、これだけ離れると聞こえないかもしれません。
子供が泣き出しました。
「パパ泳いで取りにいってよ~

」
「いやいや、パパ泳げへんし」
「じゃあ砂浜で待ってるからこの浮き輪使って取りに行ってよ~

」
それも考えたのですが、ハワイでは子供を一人にすると警察に捕まります。
法律違反になるのです。
うむむ、でもそれ以前にビーチに一人で置いてくなんてできません。
「じゃあこのまま二人で行けばいいやんか~

」
それも考えたのですが、あんなに沖に子供を連れて行くのはちょっと危険な気がします。
ビーチボール一個のために少しでも命を危険にさらすことはしたくありません。
ボールを拾ったサーファーはビーチボールがとても気に入ったらしく、しばらくプカプカ遊んでいましたが、そのうち海に沈め始めました。
・・・・どうやら空気を抜いているようです!!
おいおい、拾ったらちょっとくらい周囲を見回すくらいしろよー
誰かに頼もうにも、あいにく周囲にはサーファーは全然いません。
うむむ・・・・、ちょっと腹立つけど、景品で貰ったボールだし、まぁいいか・・・・・
ところが、、、、
予想外に子供の反応が深刻です。
ワーワー泣いています。
「パパもっと叫んでよー、声が届かなくてもいいから、もっと叫んでよー

」
サーファーは沖に出て、波にまぎれて分からなくなってしまいました。
どうしようもなくて、子供をアレコレなだめながら、自分も泣きたい気分。
とても切ない気持ちになりました。
「もう帰る

」
いつもならもっと努力するのですが、今回ばかりはこの場で子供の気分転換させるのは無理と判断して、失意のうちに帰ることにしました。
でもこんなときは、早くこの場を離れてとっとと忘れる方がいいのです。
帰り道、、、、。
もっとおこるかすねるかすると思ったのですが、意外と子供は落ち着いています。
こちらに気を遣う余裕も出てきました。
うむむ、、、、成長したなぁ。
海の話が子供の話になってしまいました・・・・・。
まぁいいか