こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

やるっきゃなかったあの日

2017年01月11日 03時04分02秒 | Weblog
職場恋愛に失敗、職場もい辛くて退職。
二十代半ば、若さゆえの暴走だった。

新しい仕事はすぐ見つかったが、心の傷はそう簡単に癒えない。
単調な働くだけの日々。
虚しさは募り滅入る一方だった。

(これじゃ駄目だ。なにかしなくちゃ!)

切羽詰まって頭をよぎった思い。
なにかやるとすれば、あの挫折の日まで続けていたものしか浮かばない。アマチュア劇団に参加していた。
といっても、その他大勢のひとりで、金魚のフン的存在。
しかし、ほかに趣味も友達もない。
仕事や日常のストレスを発散させられる唯一の場であった。

やると思い立っても、無断で退団したグループに戻る勇気はない。
やるなら自分でその場所を作るしかなかった。
単純にそう考えた。

優柔不断で自信のない性格なのに、嘘みたいに行動を始めた。
自分でも驚いた。
練習場を探し、グループ名を決め募集チラシを作る。
新聞社の支局にも足を運び、記事にして貰った。
すべてが初めてで試行錯誤の連続だった。
自分が自分でいられる世界をと夢見る強い思いが、その原動力になっていた。

二十名近い参加者を前にしたプレッシャーも必死に堪えた。
徹夜で必死にマスターした演劇の基礎知識を彼らに披歴した。
人をリードする大変さに押しつぶされそうになりながらも、なんと責任感を覚えていた。

仕事以外に生まれた目標は日々の生活を充実させてくれた。
新しく得られた仲間のために、新たな知識を学びに飛び回り、持ち帰った成果を実践してみせた。
変わる自分、成長する自分がそこにいた。
あの悶々と失意のどん底であがいた姿は、もうどこにもなかった。

「求めよ、さらば開かれん」は他人のためにある言葉だと思っていたのは間違いだった。
何かを手にするためには自分が行動するしかない。
それを自ら実証したのだ。

 アマ劇団は実に三十年近く活動を続けた。
ともに成長し続けたわたしを褒めてやりたい。
コメント
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