こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

猿真似

2016年01月13日 00時11分15秒 | 文芸
眼鏡をかけ始めたのは,

六年生のとき。

そこでさっそくつけられたあだ名が、

メガネザル。

それも、

クラスで一番成績のいいヤツが、

「ゴーグル・モンキー」と,

きざな横文字風に命名した。

 クラスの誰もかれもが顔を見れば、

「ゴーグルモンキー、ゴーグルモンキー」

の大合唱。

子供は残酷なものだ。

呼ばれる方が、

どんなに傷ついたかを考えもしない。

 といっても、

近視は進む一方で、

牛乳瓶の底みたいな分厚いレンズと,

黒縁のメガネを外せなくなった。

恥ずかしくてたまらなかった。

「猿が木から落~ちる♪」

 はやし立てられるのも,

我慢の限界だった。

それでも孫悟空に変身できるはずもない。

なら最後の手段と取ったのは猿真似。

猿の動きと顔を作って、

「キャキャ」

と道化た。

「お前、

すごいうまいのう、

猿の真似!」

 一躍クラスの人気者に。

そうなると,

メガネザルのあだ名を口にする者は,

みるみる減った。

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