こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

ちょっと一服

2019年02月09日 01時09分01秒 | Weblog
枯れし庭 緑が芽吹く 春リズム

面の皮 突き刺さる雨 冬半ば

古希迎え 失せる気力に 負けまいと 
ドンキホーテの 道選びゆく

歳の差で 老いてひけ目を 知る前に
絶頂の妻が 掌に乗る
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雪の光景

2019年02月08日 00時32分40秒 | Weblog
雪とあまり縁のない地域に
住んでいる。
珍しく降り積もると、
さあ大変。
冬タイヤの用意もないから、
車が動かせず、
通勤に困難をきたす。
あの手この手を駆使するが、
最も安全で効率いいのが、
雪中歩行だった。
しかも父親の存在が見直される
ひと時にもなった。
 二年前、
雪に隠された溝や路肩などを見分けながら
娘を先導。
通学に使う最寄りの駅まで
一時間近く歩いた。
普通なら父親と一緒に歩くのが
恥ずかしい年頃の娘も、
懸命に父親の後にくっついて
歩いてくれた。
「父さんの足跡を踏んどけば、
大丈夫だから」
「うん。分かった」
 久々に素直な娘との会話は
実に楽しく、
凍える寒さも気にならなかった。
「ザクザク、ザク」と、
数歩後ろの娘の歩みを耳にしながら
歩いていると
「あ~、父親をやっているんや」
と喜びが沸き上がった。
 駅について
コートの雪を払ってやると
「有難う、お父さん」と来た!
雪に感謝である。
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絵本ワンダーランド

2019年02月06日 10時56分28秒 | Weblog
第一回絵本ワンダーランドでは盛況でした。
絵本の読み聞かせや紙芝居にわらべ歌など、
やる側も乗りに乗りましたね。

そして、
5月11日、12日はイオンモール加西北条店の
仮設舞台で二回目のイベントをやっちゃいます。
絵本パフォーマンスの演じ手参加も、
観覧も無料のボランティア公演です。
興味ある方、ぜひご参加を!
連絡してきて下さいね。
連絡は
加西市観光まちづくり協会でお問い合わせください。
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福はうち~~

2019年02月05日 00時50分33秒 | Weblog
「福はうち!鬼はそと!」
 母の声は照れくさげで消え入りそう。まかれる豆は干した自家製大豆だった。父は興味すら示さなかった。それが記憶に残る子供時代の節分風景である。それまで節分に豆をまく習慣は、わが家になかったのだろう。
 そんな育ち方をしたせいか、昨今の豆まき事情に鬱陶しさえ感じてしまう。まして、巻きずしの丸かじりなど論外だと思っている。
とはいえ定年前は調理師。毎年節分になると、一万本近い巻きずし製造に関わった。巻くだけでなく、数十本の巻きずしを買うノルマもあった。もうこりごりである。
 古希を迎えた今、わが家で節分行事は姿を消した。スターの豆まき風景を、テレビニュースで目にするくらいである。
 ここ数年、わが家はいいこと続き。今年など二人目の孫誕生に、末娘が公務員に内定と、節分といえど厄払いする必要がない。今年は赤飯で祝うことにしてもいい。
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実話?

2019年02月03日 01時44分30秒 | Weblog
予想通りの空気だった。それを前提にした報告だから、別に動揺しなかった。
いつもと変わらぬだんまりを決め込む父。母の方は複雑な表情を作って固まっている。
「……今度は大丈夫なんか?」
 無理ないと楠見直人は思った+。今度が三度目である。一度目は結納を済ませて結婚式直前の破談で、二度目は結納直前に相手が心変わりしての破局。どちらも両親に紹介し、順調に段取りは進んでいたのが台無しとなった。
「結婚……あかんようになってもた」
「そうか」
 報告を受けた両親はしごく冷静で、さもありなんという悟り顔だった。わが子を知り尽くした親だから、直人の結婚話を端から信じていなかったと思う。自分の子が激しい人見知りで他人との会話すらままならないのを知らないはずはなかった。それでも直人が結婚すると相手を実家へ連れて来た時は、単純に喜んだ。どう考えても結婚など縁のない息子が、結婚相手を自分で見つけて来たことが嬉しかったのは間違いなかった。
 一度あることは二度ある。三年後、また親不孝な報告をするに至った。
「……あかんようになってしもた」
 今度は「やっぱり!」という顔が目の前にあった。つくづく信用されていないと思った。
「ほんまに、お前は……不憫な……」
 さすがに二度目になると、母はわがことのように嘆いた。傍らの父は口を真一文字に結んだままだった。腹の中まで見通せないが、わが子への失望と憐憫の谷間で佇んでいる表情だった。
「大丈夫や……と思う。そいで……おなかに赤ちゃんがおる」
 相手の妊娠が保障になっていた。具体的な何かがなければ、両親の不信感を拭えなかった。妊娠と聞いた母の愁眉を開いた顔は、なんとか信じられる材料を得たからだった。
「ほなら、他人を立てて向こうさんに挨拶に行かなあかんがな。なあ、あんた」
 母は俄然勢いづいた。相変わらず寡黙な父との対比は顕著だった。鈍重とも思える父の尻を叩いた。
「いっぺん相手さん連れてきたらええがな」
「平日は学校やさかい」
 直人は口ごもり気味に吐き出した。
「学校て、学生さんか?」
「短大の一年や」
 母の目が丸くなった。青天の霹靂といっても過言ではない、反応だった。
「お前」
「十三違うんや」
 別に恥じる必要はなかったが、直人は顔を赤らめた。面はゆい思いが頭を占めていた。
「あんた!ツグオはんに頼んで動いて貰いーな」
 急に慌てだした母は、夫を急かした。吉兼嗣生は親戚で、大工をやっている。錻力職人の父と最も気が合う親戚だった。
「吉兼に仲人頼むさかい、ともかくうちへ連れて帰ってき」
 もう母の行動にブレーキはかからなかった。
 三度目の正直の相手は、刺子郁美。二十歳になったばかりで短大生に通っている。三十三になる直人が普通では、出会えない相手だった。 
 実は直人は喫茶店のオーナーである。といっても一人で切り盛りする店だった。オーナーと胸を張って宣言するのはおこましい限りである。飲食業界で十数年働いて独立したのが二年前。自慢できる話ではないが、経営は赤字と黒字の境界線を行き来している。直人の人件費を計上しないから、それなりの体裁を保っているに過ぎない。自営の実態は多かれ少なかれそんなものだろう。
 郁美は喫茶店操業スタッフ募集に応募してきたアルバイトだった。裏表のない働き者だった。一週間もかからず、店に欠かせないスタッフとなった。
「働きづめやったら体壊すよ、マスター。お店は任せて気晴らしに外出したら」
「ほうか。ほな、そないさして貰うか」
 配慮を素直に受け取れるほどの信頼関係が生まれた。
(そやけどアルバイトやからな)
 猜疑的な思いは捨てられなかったが、郁美に甘えた。
 夏休みが明けたころから郁美は姿を見せなくなった。何の連絡もない行動に、心配は募ったが、どうしようもなかった。仕事が一人になって忙しすぎたせいもあって、心配が郁美への恨み節に変容した。
(ええ加減なやっちゃ。しょせんアルバイトや。責任ないもんなあ。そやけど……)
 郁美の家は知らなかったが、通う学校はよく知っていた。雑談で学校から帰る時間を聞いていた。部活動に熱心過ぎて、必ずその時間になるらしかった。直人は喫茶店を早く閉めると、郁美の学校へ足を向けた。
「あれ?マスター、どないしたん?」
 校門を出たところで鉢合わせた直人に郁美は驚いた風だった。
「いや、ちょっとこの近くの店を見学した帰りなんや。刺子さんの学校、このあたりやな思うて歩いとったんや」
 下手な弁解だった。しどろもどろ的な様子に、郁美は首をかしげて頬笑んだ。
(かわいい!)
 そんな感情はこれまでになかったことだった。
「ここしばらくアルバイト休んでるけど、忙しいんか?」
「迷惑かけて済みません。ちょっと家でいろいろあって……」
 郁美の様子が気になって、学校前にある喫茶店で話を聞いた。驚きの連続だった。今は実家を離れて、遠い親戚の家の厄介になっているという。父親が連帯保証人になった友人が借金を残して行方を断ったせいで、非常識な取り立てを食らっているのだ。身の安全を図って家を出ている状態だった。
「うちの父、ええカッコしいやから、他人に付け込まれてはえらい目に合うんや」
 父親をけなしながらも、そんな肉親を思いやる心が顔に表われていた。
「落ち着いたら、またアルバイトにいくから」
「何も助けてやれんで申し訳あらへん。そやけど、 気にかけてるから、必ずアルバイトに帰ってや。刺子はんがおらなんだら、店が回っていかへんわ」
「ほんまは、うちに店を任せといて、外へ出られへんのが、しんどいんやろ」
 図星を受けて笑いで誤魔化した。郁美もクスリと笑った。二人の距離が一挙に縮まった。
「やっと片付いた。またバイトに行ってあげるよ」
「どっちがマスターやねん。そやけどよかったのう」
 本心だった。郁美が背負いかけた問題を外せたことが、わがことのように嬉しかった。その気持ちが相手に届いた。
「よう来てくれはった。なんもないけど、ゆっくりしていってや」
 父がえらく饒舌だった。あまりお目にかかったことのない豹変ぶりに驚きながらも、やけに嬉しかった。
「肉だけはようけ用意しとるで、遠慮せんと食べてや」
 母のはしゃぎっぷりも前々回、前回の比ではない。底抜けを垣間見せている。
「……そいで……順調なんか?」
 母が一番知りたいことだった。父も動きを止めて郁美へ意識を向けたのが丸わかりだった。
「はい」
 言葉少なだったが、郁美の晴れ晴れした顔がすべてを物語っていた。
「そいで学校に差しさわりないんか?」
 実は郁美は四月から、私立の保育園で保育士として働くことが決まっている。
「夢やったし、ゼミの先生のおかげで決まった仕事やから、ぎりぎりまで続けたい」
 考えてみれば身勝手な希望だった。大体、結婚イコール退職が暗黙のルールとなっている私立の保育園を結果的にだますのだ。
「四月から保母さんやねん、彼女」
「そらまあ、えらいこっちゃがな」
 言葉ほど深刻に考えてはいない証拠に、母はすき焼きの世話を楽しんでいる。郁美の皿へ鋤き上がった肉を次々と運んでいる。
「ほなら結婚は十二月ぐらいになるかいのう」
 十二月だと半年先になる。
「そやけど仲人さんは来週にはいって貰うか」
昂りが尽きそうにない両親だった。
なんの保証もなかった結婚話で懲り懲りの目にあった親たちは、郁美の妊娠で直人の結婚を現実なものに感じたのだ。
直人は肉を頬張ってドヤ顔になった。
 
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こどもに託すもの

2019年02月02日 00時58分58秒 | Weblog
「父親のあとを継ぐ息子で。いいよな」
 思わず呟いてしまった。
ニュース画面の伝統木工品を作る親子の作業風景に、
ついジェラシーを覚えたのである。
「継がせられる程御大層な仕事やってた?」
 妻の皮肉。口惜しいが反論できない.
思い返せば、本屋の店員、コック、
喫茶店でバーテンにマネージャーを経て独立、
喫茶店オーナーになったが十年で閉店。
あとは木工会社、2×4工法の大工見習。
その後、調理の世界に戻り弁当製造工場で定年を迎えた。
最後はスーパーのパートと変化に富むが、
とても自慢できたものじゃない
 こんなザマで「親のあとを継げ」とは、
口あんぐりな反応を受けて当然なのだ。
「でもさあ。うちの子供ら、
ちゃんと親と同じ道を歩んでるよ。
幸せに思わなきゃ」
 そうだった。息子は居酒屋の店長、
父親の調理師とは異なるが、
同じ外食産業の一員なのは間違いない。
そう解釈を成り立たせた。
「何やかや言っても、
子供って親の生きざま見せつけられて
育ってるんだからね」
 悟りきった口調の妻。
そりゃそうだよな。
長女は介護福祉士、
次女は保育士で、
保育士をしながら
ボランティアにもいそしんだ母親のあとを、
しっかりと継いでいるのだから
妻のどや顔も不思議ではない。
「大局的に考えれば、
父親の仕事をなぞってくれてるんだ。
やっぱり俺の息子なんだな」
 自分を納得させても、
複雑な心境のままだ
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