『閏でも 日足らずを知る 二月尽』
(うるうでも ひたらずをしる にがつじん)
『佐保姫も 九九覚えしか もう八つ』
(さほひめも くくおぼえしか もうやっつ)
『ふらここや 空駆け巡る 夢の中』
(ふらここや そらかけめぐる ゆめのなか)
『春なのに 廃品回収 赤とんぼ』
(はるなのに はいひんかいしゅう あかとんぼ)
『トンネルを 抜けると小雨 春浅し』
(とんねるを ぬけるとこさめ はるあさし)
『春の闇 お先真っ暗 足元も』
(はるのやみ おさきまっくら あしもとも)
『触り見る 指に柔らか 猫柳』
(さわりみる ゆびにやわらか ねこやなぎ)
『明けやらぬ 石の鳥居に 風光る』
(あけやらぬ いしのとりいに かぜひかる)
『春雨に 濡れて行くには 冷たくて』
(はるさめに ぬれてゆくには つめたくて)
『雛飾る 玄関横の 紙の雛』
(ひなかざる げんかんよこの かみのひな)
『たんぽぽの 絮に牽かれて 武庫の川』
(たんぽぽの わたにひかれて むこのかわ)
『バカヤロー 春うららかに 夢の跡』
(ばかやろー はるうららかに ゆめのあと)
『春の武庫 鴉に追われ 鴎来る』
(はるのむこ からすにおわれ かもめくる)