HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

優美(ゆうび)

2009年08月29日 | ブルクミュラー
S子ちゃん(小5):
「今週はあんまり練習できませんでした・・・」と言いながらやって来ました。
先週は、旅行に行っていたとのこと。

夏休みももうあと2日だけだね。悔いの残らないように、楽しい思い出作ってほしいです。

ブルクミュラーの「優美(ゆうび)」という曲が宿題になっていました。
タイトルのついた曲が25曲入っていて、イメージが作りやすく想像力や演奏意欲をかき立ててくれる「ブルクミュラー」なのですが、その中で、どうもこの「優美」は 子どもたちには不人気な曲です。

大体「優美」なんてタイトルの意味が、子どもにはよくわからないし。
テンポも、8分音符から32分音符へとつなぐターンの連続で(そのための練習曲だから)軽快な四分音符単位の曲に慣れてる子どもには、めちゃめちゃノロすぎてリズムがつかめないし。
その反面、さっきも言った32分音符がいっぱい出てきて拍の計算不能。

・・・みたいなことです。
私も、小学校低学年のときにこれをやったときは「とりつく島がない」というのが正直な感想でした。
当然 少しも魅力の感じられない曲で、早くコレとバイバイしたい、という思いでいっぱいでした。

さて、S子ちゃんには前回、「これは、ちょっとフランス風の おしゃれな感じで弾いてみよう。バレリーナが、片足のトゥでくるりんっ、と回るような。」
と説明しながら、メロディーを弾いて聴かせました。
「ド~レドシド(くるりん!)、ファ~ソファミファ(くるりん!)、ラ!(スッ、とつま先で立つ)。こんな感じ! これの繰り返しよ」
「ああ~、なんとなく♪」
「ねっ? それとか、ソフトクリームみたいに。『ド~レドシド』1回で、コーンの上に クリームをくるりん!と巻く。それを3回連続で、ド~レドシド(くるりん!)、ファ~ソファミファ(くるりん!)、ラ!(ふわっ、と、クリームの先端を優しく立たせてできあがり)。」
「ああ、わかりました♪」

で、今日のS子ちゃんの「優美」は、まだたどたどしいながらも ちゃんと くるりん!くるりん!ふわっ! という、繊細なソフトクリームになってました。
わけわからず、嫌々弾いていた私の子ども時代の演奏とはまったくちがって、フランス風のおしゃれな音になってる。

イメージとか、目標っていうのは、とても大事。
「このように弾こう」という気持ちナシに無理矢理弾くのなら、「ピアノで音楽を」弾いてる意味がまったくないです。
生徒のみなさんは、もし「この曲弾くことにどんな意味があるのか、皆目わかりません。つらいだけです」と思うことがあったら、すぐ先生に言いましょう。
「そうだったのか!」と驚くような 美しい曲の心を説明してもらえるかもしれないし、あるいは
「この曲は美しいイメージはないけど、この指にこのテクニックをマスターさせるために必要な練習だから」というような説明を受けることもあるかもしれません。
それはそれで、はっきりした目標ですから、美しくない曲でも 大いにやりがいがあるというものです。

困るのは、中途半端に非芸術的な「似非(エセ)」の楽曲なんです・・・
まあ、そのお話は、またの機会に。