S子ちゃんが帰ったあとは、キノパパ(大人)です。
古典派の「ソナチネ」に、真剣に取り組んでいます。大人なのに、こんな正当派の古典に挑むなんて、とてもすてきですよね。
私は子どものときに弾いた「ソナチネ」で、あまり大変だった記憶はないのですが、大人になってから弾く、ということはとても大変だ、ということが、今こうしてキノパパのレッスンを一緒にやって、はじめて私も実感しました。
大人で、しかも男性なんだから手が大きくて、子どもみたいにちょこまか動かずに いろんな音をつかめるだろう、と私は考えていました。
ところが。
大きい手のはずなのに、なぜか音が動くたび、それに合わせて キノパパの手は忙しくあっちこっちに飛び回っているのです。
子どもたちよりたくさん、動き回っています。
どうしてそんなに動き回るのだろう? いちいち手全体を移動させないで、指を拡げて 次の音を押さえればいいのに・・・
そう思いながら観察していて、私は キノパパが大忙しで動き回っている理由がわかりました。
大人の人は、指を大きく拡げる、ということをやってきていないので、たとえ手が大きくても、音から音へ移動するためには やっぱり手全体を持っていかないと届かないみたいなのです。
ピアノに来ている子どもたちは、手は小さく指は短いけれど、体や手が とてもやわらかで融通がききます。
それに 小さいときからピアノを弾いてきて、さらに指が柔らかく拡がるようになっています。そのため、小さな手でも いちいち手を移動させずに遠くの音をつかんだり和音やアルペジオをなめらかに弾いたりができるのです。
私はキノパパに提案しました。
「ひとつひとつの音を追いかけずに、大きなスタンスでポジションを捉えていきましょう。例えば、ここ・・・右手のレシソ、ドラファ、シソミ、のところ。それぞれの3つの音は和音の構成音ですから、和音として手の形を決め、和音の中で順に音を弾くように。決してレ、シ、ソ、とひとつずつ音を追いかけることをしないで・・・また、この部分の左手はシ、ド、オクターブ下のド。この3つも和音として、いっぺんに弾けるような形に手を置き、それから順に弾きます。」
「ああ、前にもそういう練習をしたんでしたね。和音で捉えるという・・・」
優等生のキノパパは、前の学習をちゃんと覚えているのです。
「そうです。はっきり和音とわかるような音使いでなくても、1フレーズは1和音と捉えていいんですよ」
「ああ、そうか・・・なるほど、和音としてつかめば、手はまん中でじっとしていられますね」
「その通りです。なるべく、大きなまとまりでポジションを決め、ポジションからポジションへ移動していくような気持ちで弾いていくと、音がカタカタせずなめらかになります」
「そうかそうか・・・」
キノパパは、しきりに反省しながら、大きく指を拡げて、何度も和音をつかむ練習をしてみています。
「広い範囲の和音はつかむのが大変かもしれませんけど、敢えて指を拡げるように意識してみてくださいね。いちいち移動して、練習量だけで命中させるようにするのは能率が悪いです。はじめは拡がりにくいかもしれませんが、意識的に指を拡げるようにしていけば、だんだん柔らかく拡がるようになりますからね」
「わかりました。なるべく手を移動しないで、たくさんの音を弾けるようなポジションを見つけるようにすればいいんですね」
「そうそう。そしてポジションを決めるのは、手首です。手首を中心に、指を拡げて、その範囲の和音をつかむように。もし、また練習していて、どうしても弾きにくい所やミスタッチしてしまうところがあったら、手首が動きすぎていないか、置く位置が不適切なのではないか、確認してみて」
今日は、偶然 二人の人のレッスンで「手首」の大切さを再確認することになりました。
ふだんあまり意識しないかもしれませんが、とても大切なことなので、みなさんも手首のコントロールを身につけていきましょうね。
古典派の「ソナチネ」に、真剣に取り組んでいます。大人なのに、こんな正当派の古典に挑むなんて、とてもすてきですよね。
私は子どものときに弾いた「ソナチネ」で、あまり大変だった記憶はないのですが、大人になってから弾く、ということはとても大変だ、ということが、今こうしてキノパパのレッスンを一緒にやって、はじめて私も実感しました。
大人で、しかも男性なんだから手が大きくて、子どもみたいにちょこまか動かずに いろんな音をつかめるだろう、と私は考えていました。
ところが。
大きい手のはずなのに、なぜか音が動くたび、それに合わせて キノパパの手は忙しくあっちこっちに飛び回っているのです。
子どもたちよりたくさん、動き回っています。
どうしてそんなに動き回るのだろう? いちいち手全体を移動させないで、指を拡げて 次の音を押さえればいいのに・・・
そう思いながら観察していて、私は キノパパが大忙しで動き回っている理由がわかりました。
大人の人は、指を大きく拡げる、ということをやってきていないので、たとえ手が大きくても、音から音へ移動するためには やっぱり手全体を持っていかないと届かないみたいなのです。
ピアノに来ている子どもたちは、手は小さく指は短いけれど、体や手が とてもやわらかで融通がききます。
それに 小さいときからピアノを弾いてきて、さらに指が柔らかく拡がるようになっています。そのため、小さな手でも いちいち手を移動させずに遠くの音をつかんだり和音やアルペジオをなめらかに弾いたりができるのです。
私はキノパパに提案しました。
「ひとつひとつの音を追いかけずに、大きなスタンスでポジションを捉えていきましょう。例えば、ここ・・・右手のレシソ、ドラファ、シソミ、のところ。それぞれの3つの音は和音の構成音ですから、和音として手の形を決め、和音の中で順に音を弾くように。決してレ、シ、ソ、とひとつずつ音を追いかけることをしないで・・・また、この部分の左手はシ、ド、オクターブ下のド。この3つも和音として、いっぺんに弾けるような形に手を置き、それから順に弾きます。」
「ああ、前にもそういう練習をしたんでしたね。和音で捉えるという・・・」
優等生のキノパパは、前の学習をちゃんと覚えているのです。
「そうです。はっきり和音とわかるような音使いでなくても、1フレーズは1和音と捉えていいんですよ」
「ああ、そうか・・・なるほど、和音としてつかめば、手はまん中でじっとしていられますね」
「その通りです。なるべく、大きなまとまりでポジションを決め、ポジションからポジションへ移動していくような気持ちで弾いていくと、音がカタカタせずなめらかになります」
「そうかそうか・・・」
キノパパは、しきりに反省しながら、大きく指を拡げて、何度も和音をつかむ練習をしてみています。
「広い範囲の和音はつかむのが大変かもしれませんけど、敢えて指を拡げるように意識してみてくださいね。いちいち移動して、練習量だけで命中させるようにするのは能率が悪いです。はじめは拡がりにくいかもしれませんが、意識的に指を拡げるようにしていけば、だんだん柔らかく拡がるようになりますからね」
「わかりました。なるべく手を移動しないで、たくさんの音を弾けるようなポジションを見つけるようにすればいいんですね」
「そうそう。そしてポジションを決めるのは、手首です。手首を中心に、指を拡げて、その範囲の和音をつかむように。もし、また練習していて、どうしても弾きにくい所やミスタッチしてしまうところがあったら、手首が動きすぎていないか、置く位置が不適切なのではないか、確認してみて」
今日は、偶然 二人の人のレッスンで「手首」の大切さを再確認することになりました。
ふだんあまり意識しないかもしれませんが、とても大切なことなので、みなさんも手首のコントロールを身につけていきましょうね。