自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

クモの自然死

2014-11-28 | 生物

寒くなると,生きとし生けるものは越冬に備えます。虫たちは,卵,幼虫,蛹,成虫,いずれかで寒さに対応していきます。

クモの多くは卵で冬を越します。成虫は,いのちを卵に託して死に絶えます。クモが死ぬ場面を目撃することはほとんどありません。知らぬ間に,知らぬかたちでそっと死に絶えるからです。

ところで,つい先日,思いもかけず死に絶えゆく場面を目撃することになりました。場所は自宅の前栽。木に巣を掛けて棲んできたジョロウグモがついに死期を迎えたのです。

朝,何気なくクモの巣を見ると,変わった格好のクモがゆっくりゆっくりからだを動かしていました。近寄って確かめると,脚が取れて二本残っているだけです。「ああ,弱っているなあ」と一目でわかりました。

 

 


昼,ほとんど静止状態でした。指をそっと触れると,動くには動くといった様子。 

夕方,まったく動きませんでした。とうとう,ひとつの小さないのちが果てたようです。たとえクモであろうと,精一杯に生きた末の死は,じつに見る者のこころを打つものです。

下写真は翌朝早く写したもの。しずかなしずかな光景です。いのちをいただいて生き抜いてきたいのちのかたちが,ここにあります。