産付された卵が孵化してから,無事に成虫にまで育って次の世代づくりに関われる確率はほんの1,2%。卵,幼虫,蛹,成虫,それぞれの時期に天候や外敵,病気などに災いされていのちを失っていく個体が相当に多いということです。
今回カラムシ群落で見たアカタテハの蛹で考えてみましょう。じつは7個体のうち,二つがふつうでない姿をしていたのです。ふつうでないというのは,どうも異変が生じているようにしか見えないということです。
そのうちの一つ。殻の一部がなくなって,中が透けて見えます。翅脈と思われる筋がたくさんあります。このままだと内部が乾いてしまい,結果いのちが奪われるような気がしますが,どうなのでしょうか。指を触れても動かないのが気がかりです。
別の一つ。殻の一部が黒くなり,光沢を放つ金色部分が広がっています。いったいなにが起こっているのでしょうか。この蛹も動きません。
これら二つの事例は,自然が生きもののいのちにとって常に厳しい側面を持ち続けていることを示しています。この2個体から成虫が生まれるのか,気にかけておこうと思います。