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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヒラタアブの蛹(囲蛹)

2014-11-09 | ヒラタアブ

卵殻と幼虫を見つけてから,「これなら蛹もいるのではないか」と思いました。ヒラタアブのそれは,ハエ類と似たかたちで蛹になります。前蛹が脱皮をして蛹に移行するのでなく,幼虫が直接蛹に変化していきます。蛹そのものは二重構造になっていて,囲蛹と呼ばれています。それで,さっそく探してみることにしたのです。

すると,なんとも簡単に一つめが目に飛び込んできました。いやはや,「ヤッホー!」という気持ちです。葉の表面に,それも目の高さぐらいのところにありました。見た瞬間,「これは,これまでにも見たことのある蛹だ」と感じました。名の同定は今のわたしにはできません。ヒラタアブたちは種類がちがっても,よく似た蛹になるなあと感じます。


ほかにないか探しました。ありました,ありました。これも目の高さ辺りです。茎をつかむような感じで付いていました。これはどうやらオオヒメヒラタアブの蛹のようです。

ルーペで観察していて,ごく小さなハチが表面に付いているのを発見。コマユバチのようです。これは寄生バチです。蛹に卵でも産み付けるのかなと思って,しばらく様子を見ていました。しかし,時に動き回るものの,産卵のしぐさは観察できませんでした。観察はできませんでしたが,そこから立ち去らないあまりの執拗さから,寄生バチにちがいないと確信できました。

寄生バチもきっちり生存していかなくてはなりません。それには宿主を見つける能力,そこに巧みに卵を産付する能力を発揮できなくてはなりません。小さくてもその能力はからだの大きさからすれば,大したものです。とはいえ,自分より遥かに大きい宿主を探し当てるのですから,そう困難ではないのかもしれません。

さて,先日採集した終齢幼虫について触れておきます。採集日,幼虫は同じ葉でまったく位置を変えませんでした。ところが,翌朝起きて確かめると,そこにいなくて蕾のすぐ下に移動して,なんと囲蛹に変化していたのです。直線距離にして10cmを動き,そのまま蛹化したことになります。


オオヒメヒラタアブは子孫を残すために,冬支度を急いでいるように見えます。この姿で越冬し,来春を迎えるのです。

 


キアゲハの幼虫の話(続)

2014-11-09 | キアゲハ

この時期昆虫を観察していると,成長の速さがずいぶん遅いなあと感じます。これは明らかに気候に左右されているものと思われます。それで,温かい(暑い)時期に変化するのと同じ感覚で蛹化や羽化を待っていると,必ず当てが外れることになります。

一昨日記事にしたキアゲハもまた,その例の一つです。幼虫が前蛹になっているのに気づいてから,結局一日では蛹化せず,さらに半日以上かかりました。つまり,通常の1.5倍の時間がかかっているのです。


それが楽に観察できる時間帯ならしめたもの。逆なら,ほんとうに苦労します。今回は,ありがたいことにたいへん都合のよい午後7時過ぎでした。その様子について画像でご紹介しておきましょう。何度も取り上げてきた場面なので,簡潔に。

体色がすっかり黄色っぽくなって。

 


皮を脱ぐ直前は,大きくからだを震わせて。皮に皺ができていきます。腹端辺りに注目,です。


頭部上の皮が裂けて。


裂け目がどんどん大きくなって。


脱いだ皮が後部に送られていって。


皮が完全に送られて,全身が露わになって。


全身の激しい動きで皮が落下して。時間が経つにつれて,かたちが変形していきました。


この個体は褐色型の越冬蛹となりました。このまま半年間の眠りに入ります。