ヨッさんから電話がかかってきました。「あんな大きな幼虫は見たことがあらへんで。一度見に来てないか」という内容。ヨッさんがびっくりされるほどの大きさだから相当なものだろうと思い,見に行くことにしました。
ウマノスズクサに花を咲かせるため,それをネットで覆った特別な区画に,それはいました。屋根部分から突き出た茎につかまっていて,大きいにもかかわらずまだ食欲があるように見えました。確かに大きいのですが,初めて見るといったほどでもありませんでした。
「大きいやろ」とおっしゃるので,「確かに大きいですが,こういう個体が珍しいというほどでもありませんよ。実際,ときには目にしますから。これだけ食べ物があると,グウタラ息子みたいにのんびり,たっぷり食べられますね。競争しなくても食べ物があるんですから」と,わたしは答えました。簡単に片付けてしまったことをすこし後悔しましたが,ヨッさんにすれば珍しい出会いだったのです。
ヨッさんは「これがどう成長するか,持って帰って見届けてほしい」といわれました。それで,そのとおりにすることにしました。
責任を感じて観察していると,数日して前蛹化。場所は,竹の葉です。
雨が降って,からだがすこし濡れています。
大きな幼虫の前蛹は,やはり大きめです。これが蛹になると,やっぱり大きいのでしょうか。一日経って蛹化しました。見ると,確かに大きめです。下写真は別の蛹を並べて撮ったものです。
結局,幼虫にも蛹にも個体差があることがわかります。ヒトにも,十人十色というように,体形に違いがあるのと似ています。つまり,十虫十色です。その大きさは食草の量と密接な関係にあるように思われます。