自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

アカタテハ,卵!

2015-04-18 | アカタテハ

 4月18日(土)。快晴。土曜日なので出勤。昼休み,ウォーキングに出かけました。

アカタテハの幼虫の食草カラムシが伸び始めました。出たばかりの葉は,まだ赤色をしています。葉の縁が緑っぽいという感じで,葉からは初々しさが伝わってきます。

「よもや,アカタテハの卵はないだろうな。でも,一応確認しておこう」。そう思って,見始めた途端,一つめの葉に卵が付いているのを発見。葉の,ギザギザした縁に,それはありました。それでびっくり! くっきりと記憶に残る,あの薄緑色! 紛れもなくアカタテハの卵です。

よくよく見ると,確かに縦方向の筋が走っています。


その写真を何枚か撮ったあと,他の葉を探してみました。すると,二枚めの葉にもあったのです。今度は葉の表面に産み付けられていました。これで発見確率100%! なんと幸運なことでしょう。 

 
今日の観察は,そこまでにしておきました。こんなスゴイ発見があって,足どりはなんだか軽くなる気分でした。これからずっとそこを通るかと思っただけで,すっかり嬉しくなります。

いよいよアカタテハが活動する季節を迎えたのです。

 


ヒゲナガハナバチのおもしろい生態(後)

2015-04-17 | 昆虫と花

ヒゲナガハナバチを見て思ったのは,「とにかく,この体形はスゴイ! 風貌も!」の一言に尽きます。

それが気になって,翌々日の早朝,野菜の収穫に行ったついでに改めて見てみました。じつは,翌日は雨のために出かけることができなかったのです。その間,どうしていたか,それも確認できそうに思われました。

見てみると,あちこちにいました。やっぱり! 夜間,気温が下がって,じっとしていたのです。朝の動きは,あっても微々たるものでした。


鋭い口器が異彩を放ちます。


中には,ネットの内側に張り付くようにしてぶら下がっている個体もありました。これは,姿を写真に収めることのできる得がたいチャンスです。

横から見ると,からだを完全にUの字に曲げていました。腹端と口先がネットに着いていて,体重を支えているかのようです。伸びた触角が見事です。

 

 
脚を覆う無数の毛。背を覆う褐色毛。このからだに,これだけの毛。完全防備が整っているとでも言いたそうな,そんな装いに見えます。

 
雨の影響か,低温のせいか,いちばん大きな理由が何かわかりません。それにしても,こんなにも動きが鈍るのかと驚くばかりの静かさ。中には,指が触れたとき,地表に落下した個体もありました。 

ヒゲナガハナバチの生態をもっと知りたくなってきました。 

 


ヒゲナガハナバチのおもしろい生態(前)

2015-04-16 | 昆虫と花

夕方の畑にて。

畑仕事を終えて,ブロッコリーの覆いの中を何気なく見ると,一箇所にヒゲナガハナバチが群れてとまっているのが目に入りました。花株がたくさんある中で,ここにだけ身を寄せ合うようにして集合してきているってこと! なんと,なかま相互の結び付きが強いことでしょうか。

「えーっ! こんなふうに群集性があるんだ!」とビックリして,そっと覆いを取り外しかけました。どうも動く気配が感じられないので,思い切って全体を取り払いました。それでも,ハナバチは飛んで行く気配がないどころか,移動する気配さえありません。

それで,撮ったのが下写真です。

 
できるだけたくさんのハナバチを入れて撮ろうと思って撮ったのが下写真です。写っているの8匹。これは仰天ものです。気温が下がってきているので,動けないのでしょう。ふしぎなふしぎな光景でした。

 
花の先端付近にいた個体を撮ったのが下の写真です。立派な触覚が,ピンと直立しています。これも,まったく動こうとはしませんでした。


広い空間で,小さな昆虫がなかまを認知する能力,群れる本能は,考えてみると,生まれながらのものにしても,ふしぎな程の力を発揮するものです。 

 


オドリコソウの訪花昆虫

2015-04-16 | 昆虫と花

今オドリコソウが伸び,群落を形成して,花をたっぷり付けています。背の高さは,せいぜいわたしの膝ぐらいなので,そこに入って観察するのは容易です。

ウォーキング中のこと。クマバチあたりが訪れているのではないかと思い,立ち寄ってみました。案の定,羽音が響いてきました。目を向けると,瞬間,大きな黒いからだが花にとまったのが確認できました。

離れたところから様子を窺っていると,そこでしきりにからだを動かして,頭を花にぐっと差し入れています。大好物がその奥にあるのです。オドリコソウにはありがたい送粉者です。 

 
じっとしていることがほとんどなく,していても頭の様子が「しめた!」と思う程に観察できるわけでもなく,なかなか観察がたいへん。加えて,シャープな画像を期待して撮影するには,コンデジでは困難です。それを承知で,なおすこしでも印象深いシーンを残したいとカメラを手にします。

 
慎重に近寄ると気づかれませんが,突然の出現者にびっくりしたように花から離れる場合があります。そうすると,せっかくのチャンスを逃すことになります。再び群落に戻って来てくれればいいのですが,どこかに行ったきりになると,とても残念です。それで,観察は慎重の上にも慎重を期して行わなくてはなりません。

訪れたのはクマバチだけではありません。一回り小さい,オオマルハナバチも見かけました。

 
群落をつくっていれば,色と匂いで昆虫を誘える確率が高くなります。結局,これによってオドリコソウは毎年群落を形成し,すこしでも勢力域を拡大できるというわけです。

 


ベニシジミの初見

2015-04-15 | ベニシジミ

4月15日(水)。畑・果樹園の草がずいぶん伸びてきました。近頃続く雨模様で,草に勢いがついている感じです。それで,今日は草払機を使って草を刈りました。これが今春初めての草刈作業です。

果樹園にはタンポポがたくさん咲いていて,昆虫がひっきりなしに訪れていました。目立ったのがアシブトハナアブです。口器をぐっと花に差し入れて蜜を吸い上げていました。


りっぱな剛毛の持ち主, セスジハリバエです。腹部には,黒い太帯が縦方向に走っています。吸蜜行動に夢中になっているので,わたしにはちっとも気づいていません。それほど上等の味なのでしょう。


しばらくして見かけたのがベニシジミ。初見です。目の前に飛んで来た瞬間,どきっ! 途端,わくわくしてきました。

2,3m前方にある草に降り立ちました。大急ぎで背から機械を下ろして,コンデジを準備。「初見は記念日。どうか舞い上がらないで」と祈る気持ちで,レンズを向けました。数枚撮ったうちの一枚が下の写真です。

 
なんとも鮮やかな赤色です。初々しい春の女神にさえ見えてきます。ベニシジミの名にふさわしい色彩だなあと,改めて思いました。

こんな瞬間を味わうと,あとの作業がなんとはかどることか。草を刈り終わった畑地・果樹園はさっぱりしました。自然と付き合っていると,苦労は多いのですが,気持ちよさも十分味わえます。

 


ブロッコリーと昆虫

2015-04-15 | 昆虫と花

冬のこと。畑のブロッコリーを収穫。その後,ヒヨが飛来して葉をことごとく食べ尽くしました。「食べ物が少ないから,マアしかたないか」と放置していたら,葉が少し伸びてきました。今度は,「春先に出てくる蕾を収穫したい」と思い,ネットで覆って食害から守ることにしました。 

春になって,結構,蕾を収穫して味覚をたのしむことができました。

そのうちに花が咲く時期を迎えました。ネットをそのままにしていると,中に昆虫たちがわんさと増えていることに気づきました。ヒラタアブやハナバチの類です。蜜や花粉を食べに来たのです。


中には,ナガメカメムシもいます。


モンシロチョウも。ヒゲナガハナバチも。


隙間を見つけてうまく入ったものの,出ることが叶わなくなり,そこが居場所になってしまいました。

蕾の収穫に行くと,昆虫たちがワッと飛び上がります。もちろん,虫たちはネットから外に出ることはできません。   


ざっと見ていくうちに,おもしろい風景が目に入りました。

ナガメカメムシの交尾です。このカメムシはたくさんやって来ています。吸汁のためです。そのうちにペアが生まれ,交尾に至ります。ネット上でも観察できます。とても敏感で,わたしが近づくと,途端に大慌て。からだの大きなメスがどんどん前に歩いて逃げます。オスは引きづられるようして後退するしかありません。


アリが,同じなかまの死体を運んでいました。死体は2個体がつながっているので,びっくり。この行動をどう解釈したらいいのでしょうか。

『昆虫はすごい』(丸山宗利著/光文社新書)には,同種間の戦いをはじめとして,アリの様々な狩りの様相が紹介されています。仰天する話が満載です。では,わたしが見た,死体を運ぶ個体はいったいどうだったか,です。

 
アリの,この姿は,ネットがなかったら観察できなかったでしょう。思いがけない目撃になりました。

 


トキワハゼの訪花昆虫

2015-04-14 | 昆虫と花

トキワハゼが可憐な花を付けて,群落を挙げて昆虫を誘っています。漢字を当てはめると,『常盤はぜ』 です。『野に咲く花』(山と渓谷社刊)によれば,由来は「ほぼ1年中花が見られ,果実がはぜるからという」と紹介されています。

こういう特徴ある花を見ると,いったいどんな昆虫が訪れるのか,気になります。それが,まったく偶然,昆虫を一種見ることになったのです。それはハナバチです。ニッポンヒゲナガハナバチ,あるいはシロスジヒゲナガハナアブでしょう。二つの違いは翅脈を比べるとわかるそうですが,わたしには区別はつきません。

触覚は,からだの大きさに不釣合いな程立派です。感覚器官としての威力をグイグイ発揮しているにちがいありません。

 
下唇にからだを置き,花の奥にある蜜源を覗いています。


ほんのしばらくのことでしたが,様子を観察していると確かに蜜を口にしていました。 


たった一匹しか見ませんでしたが,ひととき,花の色とかたちは虫を招くことに成功したのです。結果,ハナアブは送粉者として見事に役目を果たしたことになります。

ついで話。よくよく思い出せば,このハナアブがカラスノエンドウの花を訪れているのを見かけたことがあります。花のしくみがなんだか似ています。 

 


ジャガイモ栽培物語《真正種子編》(11)

2015-04-13 | ジャガイモ

4月12日(日)。真正種子の芽生えは順調に育ちつつあります。とはいっても,タネイモのそれと比べると雲泥のちがいです。種子が0からの出発とすれば,タネイモは100からの出発といってもよいぐらいの差が開いています。

畑で出芽した株の横に,ポット苗を置いて写真を撮るとそれが歴然と感じとれます。同じ頃に蒔き,植えたのに,こうなのです。


したがって,収量が異なってきて当たり前です。

以下の写真は,今日現在のポット苗及び育苗箱苗の様子です。

 

 
こうして見ていると,発芽率はかなり高率だと思われます。このすべてがホッカイコガネの雑種なのです。きちんと育てたら,優良種になる可能性がほんのわずかはあるでしょう。

 

 
かたちと葉脈を見ると,いかにもジャガイモらしい本葉です。

 


バラ蒔きの育苗箱では,こんな風景が至る所にあります。 

 

 
いつまでも種皮が残る株もあります。

 


本葉が増えてきました。もう植え替えの時期です。 

 

 
今週,植え替える予定です。

 


ツマグロヒョウモン(?)の蛹の経過<その1>

2015-04-13 | ツマグロヒョウモン

ブロック塀に付いたツマグロヒョウモンらしき蛹の成長記録を書きとめておきましょう。直近では,1月2日付け記事『雪の中の蛹・幼虫』で取り上げた個体です。

2月9日(月)。最低気温-4.6℃,最高気温5.4℃。厳しい寒さの一日になりました。翅の部分を見ると,かすかに紋様が透けて見えるような感じがします。しかしまだ,蛹の正体については断言できません。もしツマグロヒョウモンだとすれば,ツマグロヒョウモンは幼虫以外に蛹による越冬もありうることになります。大きな生物的事実です。


2月14日(土)。朝起きると,外は薄っすら雪化粧。蛹を見に行ったときは,からだの雪はもう解けていました。それを虫の目レンズで一枚パチリ。

 


同じ時間帯,アゲハの庭園は下写真のとおりです。被写体はジャコウアゲハの蛹です。蛹に付いた雪は解け,水滴に変わっていました。

 


3月13日(金)。蛹の表面が変化して見えます。突起の金属光沢が目立たなくなりました。そして,褐色が大部分を占めています。どう変化するか,先がたのしみですが,無事に寒さを乗り切っているでしょうか。さて。

 

  
4月12日(日)。体色は,全体として薄くなっています。ちょっと指を触れてみたのですが,動きはありませんでした。この越冬態は,果たして羽化するのでしょうか。

 


探検活動 ~モグサを作ろう(2)~

2015-04-12 | 日記

モグサはヨモギの葉から作ります。昔,母がそれを作るのを見て,わたしは育ちました。筵(むしろ)の上で乾かして,手で揉んでいた母のすがたがじつに懐かしく思い出されます。

そのモグサが火起こしのたいせつな道具の一つなのです。

ふつう,それを子どもに使わせるだけで,モグサが何からどうやって作られるか,そんなことを丁寧に教えるおとななどまずいないでしょう。それをやるというのですから,おもしろいと自分でも思います。 

ものへのはたらきかけ,原材料の調達,そうしたことを子ども自身が行って,ものを多様に認識することは意味があります。なんでもおとなが揃えて,子どもはいわば“よいところ取り”をする,あるいはおとながそうさせてしまっている現状を,わたしはすこしは嘆きたいと思うのです。

それを反面教師にして,自らが子どもが体験で汗を流し,知恵を育むことを重視したくって,今日(4月11日),モグサ作りをしました。

と,えらそうなことを書きましたが,じつは簡略化したやり方です。冬の間に枯れて今も茎に残る葉を集め,それをミキサーにかけて粉砕するのです。つまり,既に乾燥しているものを,機械の力でモグサにまでしてしまうという手法です。

これはわたしの着眼なのですが,昔なら,まず生葉を乾かす,その後手揉みを繰り返す,そうしながら繊維を集め,おしまいに石臼で処理するという段取りになります。わたしのやり方では,当然,繊維が粉砕されますから,石臼法と比べると格段に質は劣ります。マア,これは止むを得ません。


さて,実際の流れは以下のとおりです。

  1. 乾燥させた葉をみんなで見る。
  2. 市販のモグサを提示して,解説する。
  3. 手で揉んで繊維を観察する。(虫メガネを使用)
  4. 一部に点火して,種火の様子を観察する。
  5. ミキサーでモグサを作る。


3の段階で,子どもから「こんな荒い繊維でも火が点くの?」と,質問が出てきました。それを4につないだわけですが,モグサ繊維の細かさ・荒さは着火とは関係ないことがわかって驚いていました。

なにしろたくさんの葉でしたから,1時間という決められてた時間では処理し切れませんでしたが,子どもたちには貴重な実体験になったことでしょう。こういう地味な活動を重ねながら,“ほんもの”との出合いを,大きくいえば生き方の糧にしていってほしいなと願っています。