HELGE LIENのTo The Little Radioという作品を購入した。出だしから(grandfathers waltz)、デリケートなタッチとリリカルな響き。2曲目(no mountains)、なんとデリカシーに溢れるタッチ……。あー、もうだめだ。力がぬけていく。倒れそうだ。
ちょっと少女趣味で恥ずかしいが、私は結構こういう静謐な演奏が好きなのです。
ヘルゲ・リエンは1975年ノルウェー生まれだ。ピンク・フロイドから最初の音楽的影響を受け、16歳でクラシックに転向。オスカー・ピーターソンを聞いてJazzの世界に進んだという人だ。私よりかなり若いのが気に入らないが、ピンク・フロイドから影響をうけているらしいということで赦してやろう。
私がHELGE LIENというピアニストをチェックしたのは結構前だ。レコード屋(CDショップのことです。どうしてもレコード屋といってしまうのはなぜでしょうか)でたまたま、What Are You Doing The Rest Of Your Life (これからの人生)という作品に出会い、衝動買いしてしまった。以前このブログに書いたように、わたしはこの曲が好きなのだ。その後、スウィング・ジャーナル誌でSpiral Circle という作品が高評価を得ているのを知り、早速購入。すっかりはまってしまった。その後に出たUnsymmetrics も手に入れ、HELGE LIENというピアニストをフォローしているような形になってしまった。
彼のピアノの特色は、タッチと響きだ。その意味では、キース・ジャレットや、ブラット・メルドーと共通点があるかもしれない(私はいずれも好きだ)。たまにちょっと難しい世界を描こうとするのが気がかりだが、決して難解な音楽ではない。普通に聞いて、キュンとくる音楽です。ベースとの「あわせ」がたまにぐーんと来るのもいい。
おそらくは人生の半分を過ぎた私は、見栄とか教養主義とかウンチクとかではなく、本当に好きなものだけを聞いて過ごしたいと思っている。その意味で、HELGE LIENというピアニストは気になるピアニストの一人なのだ。
というわけで、田舎に住む私は、例の如く通信販売で新作To The Little Radio を購入して、今、聞いているわけである。第一印象は最初に記したとおりで、この思いをとりあえず誰かに伝えたいと考え、今この文を書いているわけです。
ごめんなさい……。
平泉澄