●今日の一枚 126●
Stan Getz Captain Marvel
しばらくぶりのスタンゲッツ。1972年録音の『キャプテン・マーベル』だ。
Stan Getz (ts)
Chick Corea (el-p)
Stanley Clarke (b)
Tony Williams (ds)
Airto Moreira (per)
あのかもめジャケットのReturn To Forever の一ヵ月後に録音されたこの作品は、チック好みのラテン色溢れるナンバーをゲッツが料理していくという趣向だ。曲目も① La Fiesta やオリジナル盤にはなかった⑦ Crystal Silence などReturn To Forever のアルバムとダブるものもあり、メンバーもチックのほか、スタンリー・クラークやアイアート・モレイラなどReturn To Forever のメンバーが起用されているのが興味深い。チックがエレクトリック・ピアノを使ってReturn To Forever ばりの演奏を展開し、ゲッツがそれにどう応じるかが聴きどころだ。
私は好きだ。結論だけいうなら、やはりスタン・ゲッツはすごい。フュージョンまがいのサウンドにもきちんとレスポンスし、それでいてゲッツ自身の特色を失うことはない。相手に合わせつつも、言うべきことはきっちりいわせてもらうといった感じだ。名曲⑦ Crystal Silence などReturn To Forever のものを聴きなれた耳には違和感を感じるが、聴き込むにつれ、それとは違った深い落ち着きのある音色に魅了される。