WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

チック・コリア風味のスタン・ゲッツ

2007年02月06日 | 今日の一枚(S-T)

●今日の一枚 126●

Stan Getz     Captain Marvel

Watercolors0004_2 しばらくぶりのスタンゲッツ。1972年録音の『キャプテン・マーベル』だ。

 Stan Getz (ts)

  Chick Corea (el-p)

  Stanley Clarke (b)

  Tony Williams (ds)

  Airto Moreira (per)

 あのかもめジャケットのReturn To Forever の一ヵ月後に録音されたこの作品は、チック好みのラテン色溢れるナンバーをゲッツが料理していくという趣向だ。曲目も① La Fiesta やオリジナル盤にはなかった⑦ Crystal Silence などReturn To Forever のアルバムとダブるものもあり、メンバーもチックのほか、スタンリー・クラークやアイアート・モレイラなどReturn To Forever のメンバーが起用されているのが興味深い。チックがエレクトリック・ピアノを使ってReturn To Forever ばりの演奏を展開し、ゲッツがそれにどう応じるかが聴きどころだ。

 私は好きだ。結論だけいうなら、やはりスタン・ゲッツはすごい。フュージョンまがいのサウンドにもきちんとレスポンスし、それでいてゲッツ自身の特色を失うことはない。相手に合わせつつも、言うべきことはきっちりいわせてもらうといった感じだ。名曲⑦ Crystal Silence などReturn To Forever のものを聴きなれた耳には違和感を感じるが、聴き込むにつれ、それとは違った深い落ち着きのある音色に魅了される。