●今日の一枚 127●
Thelonious Monk Solo On Vogue
西洋音楽の平均律の権化であるピアノという楽器を使って、その不協和音の響きにより、ピアノという楽器の支配を脱出すること、それがセロニアス・モンクという人のめざしたテーマであることは周知の通りである。
1954年録音の『ソロ・オン・ヴォーグ』。そんな小難しいことを考えなくても十分楽しめる作品である。訥々とした演奏が時代を感じさせるモノラル録音によって一層引き立っている。私としては、モンクの作品の中でも五指にはいるものと考えている。
モンクは、一般に気難しい人と思われているようだ。実際そうだったのかもしれないし、そうではないかもしれない。ただ、少なくてもいえることは、このアルバムにおけるモンクの演奏は、歌心に溢れ、音楽を愛する心に満ちているということだ。