◎今日の一枚 235◎
Rarph Towner & Gary Burton
Match Book
今日は久々のオフだ。昨晩、ちょっと飲みすぎて身体がぐったりしている。こんな日には、何か静謐な感じのするサウンドが聴きたいと思って思い出したのがこのアルバムである。
ラルフ・タウナー & ゲイリー・バートン の1974年録音作品『マッチブック』だ。ジャケット写真のようなマッチをマッチ・ブックというのですね。マッチ・ボックスじゃなくてマッチ・ブック。改めて辞書をひいてみるまで知らなかった学識のない私。
静けさを求めてこの作品を選んだのだが、音を大きくしすぎたせいか、二日酔いの身体にはちょっと刺激的な音だった。ずっと《静寂のサウンド》というイメージをもっていたのだが、音量を上げて改めて聴いてみると、ヴァイブの響きもギターの音色も、意外なことに、耳に突き刺さるような 攻撃的ともいえる音に感じる。二日酔いの耳には刺激が強すぎると音量をしぼってみると、こんどは静かな安らぎの世界が広がってきた。音量によってこれ程印象が違うというのも不思議なものだ。透明感のあるECMサウンド。理知的で冷たいクリスタルな響きなのだが、このアルバムに関してはどこか温かさややわらかさを感じるから不思議だ。
不思議といえば、このアルバムを聴くといつも思い出す作品がある。Jim Hall & Bill Evans のUndercurrent だ。デュオという形式以外あまり共通点が見当たらないのだが、なぜか思い出す。ピアノとヴァイブという楽器の違いはもちろんのこと、ジム・ホールの穏やかで暖かい感じのギターに対して、ラルフのそれはソリッドで高音を強調したものだ。にもかかわらず、なぜかUndercurrent を思い出す。今日も冒頭の① Drifting petals を聴いてたら、どういうわけか頭の片隅では、Romain が鳴り響いているという始末だった。脳の何かがリンクしているのだろうか。まったく、不思議なことだ。
というわけで、『マッチブック』を聴き終わった私は、今、Undercurrent を聴きながらこの拙文を書いている。