WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

かっこいい!

2013年10月06日 | 今日の一枚(M-N)

◎今日の一枚 345◎

Miles Davis

Nefertiti

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 しばらく更新をサボっていたが、数日前からまたぼちぼちはじめようかと思い立ち、過去のバックナンバーを一瞥してみたのだが、意外なことにマイルス・デイヴィスが少ない。LPやCDの棚には結構な枚数のマイルスが並んでいるのだけれど・・・・。大学生の頃、アート・ペッパーからジャズに入った私は、どういう経緯だったかマイルスにたどり着き、マイルスの共演者の音楽を聴くことによって、徐々に守備範囲を広げていったのだ。

 そんなことを思って、今日はマイルスと決め、ランダムにCDの棚から選んだのは、この1967年録音作品、『ネフェルティティー』だ。ウェイン・ショーター入りの、第2期クインテットの代表作のひとつであり、アコースティック・マイルスの最後の作品である。

 かっこいいの一言だ。私の持っているCDは妙に音がいい。非常に鮮明な音だ。全体的として、わりとけだるい曲想の中から、突然飛び出してくるような、トランペットやテナーやピアノの明快な音色が気持ちいい。実は、そんなに聴きこんだアルバムではないのだけれど、改めて聴いてみると、どの曲も個性的で好きだ。いまのところ、一番のお気に入りは、⑤Riot 。マイルスのはじけるような明快な音色のトランペットが全面にフィーチャーされた曲である。やや唐突に終わってしまうのも、なかなかセンスがあるじゃないか。夜中に家族が寝静まった後、音量を絞って聴くなんてのもいいんじゃないだろうか。

 1967年の録音であることに、改めて驚く。私はまだ5歳のこどもで、もちろん何もわからなかったのだが、このようなかっこいい演奏を生み出した、1960年代後半の雰囲気と時代精神に思いを巡らせてしまう。