自閉症スペクトラム障害(3)
~社会性の障害について~
自閉症スペクトラム障害は、「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害(こだわり)」が中心的症状であるとされ、これらは「三つ組」などといわれている。「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」を1つにまとめて考えてもよかろう。実際、DSM-5(アメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」)では1つにまとめて考えられているようだ。ここでは、参考文献を参照しつつ、「三つ組」について、それぞれの具体的様相をまとめておきたい。まずは、対人関係の特異性を特徴とする「社会性の障害」である。
●相手の気持ちや状況を考えない言動
太っている友だちに対して「太っているね」といってしまうなど。
●マイペースで、一方的な言動
周りの友だちが皆で遊んでいても仲間に入らず、一人で遊び続けることが多く、一緒に遊んだ場合でも、その場を仕切って自分のペースに引き込もうとする。思い通りにいかないと癇癪をおこす。
●場の雰囲気が読めない
相手が困惑し、迷惑がっているのに気づかない。静かにすべき場所か、騒いでいい場所か判断できない。
●人に対する共感性が弱い(他者への関心が薄い)
初対面の人に次々と不躾な質問をしたり、自分が関心のある話題を一方的に話し続けたりする。自分が関心あることは、相手も関心があると思ってしまう。
●人と関わることが苦手
視線を合わせたり、手をつなぐなどの身体的接触が苦手
[参考文献]
田淵俊彦ほか『発達障害と少年犯罪』新潮新書2018
平岩幹男『自閉症スペクトラム障害』岩波新書2012
岩波明『発達障害』文春新書2017
杉山登志郎『発達障害の子どもたち』講談社現代新書2007