1978年発表のアルバム『海が泣いている』収録曲だ。私の不確かな記憶によれば、LA録音とかで、ギターを弾いているのはリー・リトナーだったような気がする。気がするだけだが……。
ところで、あったはずのLPがない。確かにもっていたはずだ。あるはずのものが見当たらないのは、何かしら、人を不安で、落ち着きの悪い心持ちにさせるものだ。アルバムにはタイトル曲の「海が泣いている」や「栞の結婚」などの名曲が入っており、それをアナログ盤で聴けないのは残念である。
「振り向けばイエスタディ」というタイトルは、気持ちはわかるが、ちょっとダサい。当時はこういう言葉の使い方がお洒落だったのかも知れないが、今となっては恥ずかしい表現である。歌詞の中に「振りむけばイエスタディ」という言葉が登場せず、その意味では練られたタイトルだったのかもしれない。ただ、歌詞に関しては、ちょっと芝居じみた感もあるものの、情感溢れるノスタルジックなものであり、私自身、心に迫るものがある。
大人の歌である。過ぎ去ってしまったアドレッセンスを追憶する静かな寂しさが漂っている。我々は年をとっていく。金持ちも貧乏人も同じように時間を失っていくのだ。たからこそ、追憶の歌は多くの人の共感を呼ぶのだ。
歌を聴きながら、その情景がイメージされるような映像的な歌詞だ。「君とは一緒に一夜づけした ノートの隙間に朝が見えたね」とか「女は名前を何故変えるのか この次逢ったらなんて呼ぼうか」など多くの人が自分の体験とダブらせて、感慨に浸ることだろう。
太田裕美は、自分自身が年齢を重ねながら、同世代が思いを分かち合えるような歌を歌っていく。「青春の太田裕美」の所以である。
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英語のカードを片手にかざし ラケット抱えた少女がとおる
もうじき期末のテストなんだよ あれから何年たったんだろう
今でも時々夢を見るんだ 白紙の答案にらんでる夢
君とは一緒に一夜づけした ノートの隙間に朝が見えたね
愛って何?さって何? 小首かしげて君は聞くけど
答えがないから青春だった 答えがないから・・・woo woo woo
※ ※
化粧を変えてもすれ違うとき 不思議に一目で君とわかった
お茶でもどうって誘う言葉に うなづく仕草は昔の君
結婚するってうわさ聞いたよ 相手がやさしい人ならいいさ
女は名前を何故変えるのか この次逢ったらなんて呼ぼうか
愛って何?若さって何? 小首かしげて君は聞くけど
答えがないから青春だった 時ってでっかい河みたいだよ
想い出はなつかしい友達なんだね
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