遠い昔、10代最後の2年間は大阪に住んでいた
体面上、大学浪人と自称していたが受験勉強はあまりしてなかった。
もっぱらパチンコにうつつをぬかしてた。
パチンコで負けると風呂屋にも行けなくてパチンコ屋のタバコの臭いがいつも体に染みついていた
風呂屋の前を素通りして、なだらかな坂道を5分程上ると安威川と言う川の土手に出る
川の中ほどに砂利の堆積した中州があって生い茂った萱の穂がさやさやと秋風に揺れていた
対岸の茨木の街が赤い夕陽に染まった頃、幾つもの風呂屋の煙突から白い煙が吐き出され
投げやりな気持ちで自分もたばこの煙をふーと吐き出す
鉄橋をゴーと言う騒音を響かせて阪急電車が駆け抜ける
土手の上を自分と同年齢の体育大学の女の子がはっはっタッタと駆け抜けた
彼女達にはタイムを縮めると言う目標があるが
僕には何の目標も無かった
・・・
今日は早いけどもう閉めて帰って酒喰らって寝るか