先月の茂木町への旅でお土産にした柚餅子。東北や関東では柚子よりもクルミを使った餅菓子が多いとされている。由来は鎌倉時代まで遡る。米の収穫時にできる壊れた米を米粉にして醬油や砂糖を合わせて蒸したものだ。蒸す前に2本の指でぎゅっと押したことから「ゆべし」と名付けられたという。
ところで道の駅やサービスエリアを始め地元の和菓子を大量に販売するところでは、多くの種類の菓子類が賞味期限もある程度長く設定されている。流通販売にとって在庫を抱えながらロスも抑えるのに販売期限は長い方が扱いやすい。多くの商品が日持ちさせるため個々の菓子を個別包装し、酸素を取り除くことで酸化を防ぎ商品劣化を防いでいる。脱酸素材といわれるものだ。
密閉した容器に混入し鉄の酸化を利用して酸素を吸収したり、糖などの酸化反応を利用したりする有機系のものも開発されている。
今回使われていたものはアイリスのサンソカット。しかしそのシェアナンバーワンは三菱ガス化学の「エージレス」。1977年に商品化され安全性が確認されると仙台銘菓「萩の月」に同包され、保存料を使わない生菓子が賞味期限を延長し贈答、土産用として販路を拡販すると、食品と脱酸素材を同包する方法は一気に広まったという。
以前菓子原料の流通に関わっていたころ、エージレスを始め、上野製薬の「オキシーター」、日本化薬の「モデュラン」など様々なメーカーが開発販売していることを知った。またエージレスの様に先行開発メーカーの優位性を現場で肌で感じることができた。人に先んじて作り出すことに価値があるのだろう。やはり脱酸素材といえばエージレスだ。
食べ物だけではなくその保存方法が進化して、より価値のある物が多くの人に届けられていく。購入してひと月近く立った柚餅子の食感もなかなかのものだった。