ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは 在原業平朝臣
神々の世であった昔にも聞いたことがない。龍田川の水面に紅葉が散り敷いて、川の水を鮮やかな真紅ののしぼり染めにしているとはなんと美しいことだろう。
百人一首で紅葉の歌は六首あるという。また桜の歌も同じく六首。今日でも春の桜に対し秋の紅葉が日本の四季を表す風景となっている。紅葉の鮮やかさは錦織の着物に例えられ「紅葉の錦」と読まれたという。布や着物にちなんだ表現が多いのはそれが読み手である貴族の生活で大切にされていたことの表れだという。
在原業平は六歌仙の一人で、「伊勢物語」の主人公。天皇の后になる女性との熱烈な恋で知られた貴公子。
この歌にも業平の歌人としてのスケールの大きさが表れているという。
どことなく花輪君をイメージしてしまう・・・