オリンパスOM-1N ズイコー40mmF2
私がまだ大学生だったころのことです。バイト先の店長さんが天文ファンで天文撮影の
話をよく聞かせてくれました。1986年に来た前回のハレーすい星のときには南半球まで
行って撮影されたツワモノです。そのときに撮影されたハレー彗星や南十字星の写真は
初めてみたこともあり、写し取られた星たちの姿に素晴らしく感動してしまいました。
「すごいですね~。どうやったらこんな写真が撮れるんですか?」
「星を点に撮影するには赤道儀がいるけど、固定撮影なら三脚にカメラつけてバルブに
してシャッターひらいたら撮れるで。ちょうど50mmでオリオン座がきれいに入るよ」
「あ、そんなに簡単なんですか?」
「そのかわり街中では電燈の光でかぶるから、暗い夜空のとこに行かんとあかんで。
あとバルブ使うからメカニカルシャッターのボディがええなあ。」
「なるほどなるほど」
当時写真に興味をもちはじめたばかりの私はOM-10を使っていました。電子シャッターの
フタケタ機ですから機械シャッターのヒトケタ機たるOM-1なら購入の理由付けとしては十分です。
ちょうど心斎橋の大丸で中古カメラフェアをやっていたので行ってみることにしました。
おめあてのOM-1もたくさんでています。でもOM-1でも新型のOM-1Nが巻き上げレバーが
ゴム巻きになって指に優しいのは知っていましたのでOM-1Nをさがしました。
やっとこさ2台のボディを見つけました。片方はピカピカで27,000円。もう一台はのほうは接眼レンズにキズがあるのと
アクセサリーシューが少し傷んでいるので25,000円でした。
当時貧乏学生だった私は迷うことなく25,000円のほうにしました(^^)ゞ。
OMで重いなどと言ってはいけないのですが、プラスチッキーなOM-10と比べると真鍮のOM-1はずしりと重く感じ、いかにも
「ヒトケタOM」感があって頼もしく感じたのを思いだします。実際に触ってみるとなんとなくたよんない表示の露出計も
なかなかシビアな反応をしてくれて、ぽよぽよした動きのメーターもマニュアル露出の楽しさを味あわせてくれます。
シャッターダイヤルをマウント基部に追いやって鎮座している感度設定ダイヤルはちょっと菊の花みたいで
デザイン的にはOM-2のタイプのほうが好みだなあ。
OM-1がすごいと思うのはボディが小さいのにファインダー倍率が0.92倍と大きいかったり
巻き上げレバーなども大きいところで、特に一番すごいのは巻き戻しレバーがほかのどのカメラよりも大きく
やりやすいところです。巻き戻しレバーが大きく使いやすいところなど設計者の米谷さんがいかに普段から
撮影をこなしてフィルム巻き上げを迅速確実にやりたいかを考えていて具現したのかをうかがえて嬉しいですね(^^)。
私はOM-1の巻き戻しレバーが数あるカメラの中でも一番好きです。
ただ、小さいボディに1000mmでもミラー切れしないというどかんと大きなミラーボックスを
ねじこんでいるのはまことにすごいのですが、ミノルタみたいにしゃくりあげにしてないためにフランジバックが
46mmもあって他社の一眼レフとくらべると内面反射的に弱いようです。とくに浮遊物が多くて光が暴れる
五月ごろの「快晴やけどなんか白っぽいお天気と光やなあ」というときは要注意です。
ズイコーレンズはボディに合わせて小型軽量がウリなのでフードをつけないほうが小さくてカッコイイのですが
フードはぜひつけましょう。
オリンパスOM-1N ズイコー40mmF2 1/125 F4 ベルビア50
久しぶりに40mmでスナップです。画角がちょうど私にはぴったりで使いやすくて使いやすくて手放せないレンズです。
外国のかたが被写体だと作品的に見えるでしょ(^^)?
昭和も最後の年だったでしょうか。それまでOM-10を買ったときについていた35~70mm一本だけでがんばっていた
のですがボディが二台となるともう一本標準レンズがないとなにかと不自由です。ただズームのF3.5~4.5という
ファインダーの暗さにも辟易していたので今度は明るい単焦点にしようときめていました。
当時から今までカメラの師匠の友人に当時も相談したのでした。
「今度標準レンズを買おうと思うんやけどどれがええやろ?」
「あ~オリンパスやね。やっぱり1.4かな。マクロて手もあるけど。」
「うーん。明るいのがええからマクロはF3.5やし・・1.4は高いねえ。」
「ほんなら40mmにしたら?ズイコーは40があるで。」
「40mm?それがええのん?」
「そうそう。ズイコーは40があるねん。うらやましい。」
「はあ。そうですか。」
友人はミノルタを使っていて40mmという画角がないのを残念がっているようです。
当時私はまったくのカメラ初心者でしたので40mmと50mmの違いさえまったくわからなかったのですが
カタログをみるとズイコーのラインナップの中でも50mmF1.8に次ぐ安さです。
「安いからこれがいいかな?今度店に行ったら聞いてみよう。」
ちょうどカメラ屋さんにアルバイトに行っていたときなのでオリンパスから来ていたヘルパーさんに尋ねてみました。
「こんど40mmを買おうと思っているんですがどうでしょう?」
「お、40mmですか。しぶいところ言いますね~。良いと思いますよ。」
どこが良いのかは教えてもらえませんでしたがとりあえず買ってしまっても大丈夫のようです(^^)。
お店の専務さんにお願いして定価の3割引きで購入することができました。
初めてボディに付けたときのファインダーの明るさは目にキラキラとまぶしく、いままでズームでピントを合わせるときは70mm側
で合わせて35mmに戻したりしていたことを考えるとピントのキレもよろしくフォーカスが楽しいです。
当時のOMカメラボディに同梱されていたレンズパンフレットには
「F2の明るさを実現するために、対象レンズにもかかわらず6群6枚構成というまったく新しいレンズ設計を採用。
そのうち4枚に高屈折率低分散ガラスを使用しています。像面湾曲が少なく、かつコントラストの高い描写性能を
示します。最近接撮影距離は、このクラスとしては画期的な30cmを達成。」と書かれています。
おお、まさに「性能は高く値段は安い」素晴らしいレンズのようです!
大喜びでそれからはなんでもかんでも40mmで撮影していました。ところがあるときポジを見て気づきました。
たまたま100mmレンズに換えて撮影したコマと色もコントラストもぜんぜん違います!。
当時はベルビアが発売されて間なしのころでしたがベルビアの解像度と発色の強さが私の眼にも
レンズによる描写の差をわからせてくれたのでした(^^;)。
よくよくみると100mmF2.8と比べて明らかに
・コントラストが低く
・線が太く
・ペタッとした発色
なのです。そうやって見出すとどんどん気になりだしました。それまで40mmで撮ったプリントを改めて見直すと
・喜んで最短30cmで撮影した背景はドハデに二線ボケ
・F2開放で撮影したコマは周辺落ちまくりの画面すみ流れまくり
・ズームもびっくりのたるたる収差
ああ、なぜ気づいてしまったのでしょう?この世の中には知らないで良いこともあるのに(TT)・・・。
でも、それからいままでもここぞというときは私のOMボディにはやはり40mmがついています。レンズの描写性能よりも
何が写っているかのほうが大事です。そうなればOMボディにはこの40mmが絶対的にマッチングベストの
レンズなのでした。結局私がOMで撮る写真の95パーセントは40mmのままです。
設計者の米谷さんもかつてアサヒカメラのインタビューで「思い入れのあるレンズ」としてあげられていて、
「社内の反対を押し切ってまでつくらせたレンズ」とおっしゃっていました。高価なガラスを4枚も使ったから
コスト的に見合わないと反対されたのでしょうか?昨今の理不尽なプレミアムな中古価格も少しは妥当性があるのかも
しれませんね。
でも今になって考えてみるとレンズパンフレットにやたら能書きを書いていたのは実は微妙な描写性能ということを
あいまいにしてしまうことをねらったのでは・・などとと勘ぐってしまうのでした(^^)。
私は不純で,ディスコン情報を聞き,絶対中古で入手困難になる!と確信してナニワに走り,最後の新品を買ってきました.
オリンパスは学生時代からの憧れで,特に70年代はストロボTTL調光できるのはOM2だけでしたから接写の世界では圧倒的でした.社会人になってからようやく手にして,マクロ中心に整備しました.40は一般撮影レンズとして初めて買ったんじゃないかな.でも仰る通りちょっと性能は最高,じゃないんですよね...ハハハ.50/2マクロ入手後に40は箱に戻って動体保存です...
最近OM1や2は大変入手しやすいので,フィルムを使うにあたって質の高い機材を手にして欲しい時,真っ先にお勧めしたいカメラですね.MDに較べてレンズは若干高めだけど...
OM1&2は操作性と携帯性を両立させた
本当に一眼レフの名機中の名機だと思います。
私は絞り優先が好きなのでOM-4の出番も
多いのですけれど・・・。
ズイコーの描写特性的にマクロが一番「らしい」
と思います(^^)。