プラナー80mmF2.8 HFT
ものの値段というものには「これぐらいならこんなもんじゃろう」というものと
「これでこの値段はないで」と「これでこの値段なら安いや!の3パターン感じることがあります。
ローライと駒村商会とのコラボで2003年に発売されたプラナー80mmF2.8HFTです。
それまで中判のレンズだったプラナー80mmをLマウント鏡筒に実装してMマウントアダプターも
標準装備です。鏡筒はどっからみてもボディの35RFと同じくコシナ製なのですが真鍮製でずっしりと
重たいです。カタログには誇らしげに「レンズの研磨から組み立てに至るまで、ドイツ・ローライ本社工場で行っています。
中判カメラRolleiflexに搭載されているレンズを製造している同じドイツの工場で製品化されています」
とうたわれています。
あのプラナー80mmがライカでも使えますよ!35mm判でも撮影が楽しめます!しかもカナダやシンガポールや
長野ではなくちゃんとドイツでつくっています。コーティングはローライの誇るHFTコーティングです。
ヘリコイドが外れるようになっていてオプションのニコン用ヘリコイドをつけていただければニコン一眼レフ
でも使えちゃいます!というのがウリだったのです。
そこで問題なのが値段です。当時フォクトレンダーでぶいぶいいわしていた本家のコシナアポランター90mmF3.5
がブラックペイントで58,000円なのにプラナー80mmのブラックは155,000円です。
ドイツの人件費の高さや長野のコシナからドイツまでの往復輸送費や生産量を考えても
もう少しなんとかならんかったのかなというところですね(^^;)。
もともとレンジファインダーのレンズは実用というよりもあくまで趣味のものなのでみかけと雰囲気に
お金を払うところも大きいわけです。ライカのようにレンズの彫りこみ文字を独自のフォントにするというのは
なかなか的を得ていますね。あまりにもお里が知れるローライ35RFシリーズはなんとも微妙な立場に
なってしまったようです。
この値段なら80mmのファインダーかニコンFマウントヘリコイドのどちらかを標準装備するべき
だったでしょうね。私も80mmの外付けファインダーが欲しかったのですがなかなか見つからず
やっと見つけたのはニコノス用の80mmファインダーでした(^^)。
ローライ35RF プラナー80mmHFT F2.8 開放 1/60 ベルビア50
ローライ35RFはプラナー80mm用ともいうべきフレームをもっていますので
このレンズを安心して使える唯一のボディといえるかもしれません。
実際他のレンジファインダーボディにニコノスのファインダーをつけて撮影してみたこともあったのですが
パララックスが大きくてなかなかうまくいきませんでした。結局ローライ35RF専用レンズというわけです(^^;)。
他のカメラに使えるかどうかはともかく、なにしろ天下のプラナー80mmですから
写りはいわずもがなで素晴らしいです。開放だと少しフレアがかったしんなりとしたコントラストの出し方で
国産にはない優しい雰囲気です。私がローライが大好きなのはどのカメラもどこか人をほっとさせるような
あたたかさを持っているからですが、このプラナーもその例にもれません。
ただ、開放では被写界深度が浅いのでピント合わせは慎重なうえに慎重さが求められます。
またレンジファインダーの機構の限界もあってピントの相性がもひとつのボディもあります。
安全をみればF4ぐらいに絞って使いたいところです。でも、そこまで絞ったとしてもプラナーならではの
立体感のある描写というのは如実に感ずることができますので心配ご無用です(^^)。
ファインダーも90mmの外枠を使うという感じなら実用に耐えるでしょうし、
またデジカメをお持ちの方もアダプターで装着できてピント合わせも楽になりますから
ぜひ中判用とちがった雰囲気のプラナーの描写でほっこりしていただきたいと思います。