よかよか写真&カメラ

 撮影できて良かった写真・楽しいカメラ達を記録していきたいと
思います。

キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5

2016-08-04 00:53:18 | マイ カメラ キヤノン

 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5


 私のように年をとってきますと、人間というのは将来を期待するよりむかしのことを懐かしむことのほうが
多くなるようです。先日はミノルタα7000で1985年にタイムスリップしましたが、もう一度くらいは行ってみたくなりました。
というわけで、今回のお題は「アートロボ・キヤノンT80」です(^0^)!

例によってジャンクでゲトしたのですが(500円でした(^^)ゞ)。ジャンクといっても不具合は軽い電池の液漏れのみでしたので
電池金具をぐりぐり磨きますと・・・「ゴッ・ガガガ・ゴゴ・ピピッ」という多角形コーナリングのような作動音とともに
無事にオートフォーカスが作動しました♪。手にして初めて知ったんですが、成形色がツートンカラーなんですね。

このT80の発売は1985年4月です。なんとカメラ界の核弾頭α7000の発売の2カ月後です!
発売時期がこれだけ間の悪かったカメラもそうそうないでしょうね。どちらかといえばキヤノンは
「後出しジャンケン」的な商売がうまい印象があります。パナソニックやトヨタもそんなとこがあるかしら(^^;)?
すでに出されていた他社の商品を圧倒的なブランド力と低価格で上書きしてしまう・・みたいな。
キヤノネットやAE-1はまさにそんな感じですが、T80は残念ながらさすがのキヤノンさまも猿も木から落ちた感バツグンであります。

たとえば、α7000が35~70ズームレンズ付きセットが123,000円なのに対しT80に専用AC35~70mmをセットした
お値段は128,000円です!強気だぜキヤノン!

α7000がマニュアル・絞り優先AE・シャッタースピード優先AE・プログラムとフルモードでの露出制御が
できるのに対して・・T80はマルチプログラムとはいえプログラム露出のみ!露出補正も逆光補正ボタンのみでマイナス側補正は不可!
フイルム感度設定が手動なのでそれで対応できます・・て対象ユーザーがあっちゃてっちゃしてますよう。

内臓ワインダーもα7000が秒2コマが可能なのに対してT80は秒0.7コマです!
カタログを読まないほうが良いですね(^^;)。

α7000がカメラ好きのハイアマチュア向け的な多機能マシンだったのに対し、T80は初めて一眼レフを使う人でも
簡単にいろいろな撮影が楽しめる・・・というのがコンセプトの「アートロボ」。キャッチコピーは「楽写一眼」。
コンパクトカメラのオートボーイやプログラム露出専用の一眼レフT50オートマンにあきたらないユーザーが
ターゲットだったんでしょうね。

なまじオートフォーカスができることと、発売時期が近かったためにα7000と比較されてしまった超残念マシンです。
そして市場の反応は・・まるでラオウに雄々しく挑むも瞬殺された風のヒューイのごとしでありました。
当時のカメラ雑誌の広告でもα7000には「セール特価」や「価格TEL」とメーカーにも他社にも気を使って
実売価格は伏せられているのに対し、T80はいきなり「35%OFF!」の文字が躍っておりました。

今回私のもとに来た個体は電池室こそジャンクなものの、フィルム室もミラーもピカピカで
前のオーナーの方はひょっとしたらフィルムを通さなかったのではないか?と思えるほどの美品です。
やはり前オーナーもまったりのんびりしすぎたオートフォーカスと巻き上げに愛想をつかし・・あわわ、フィーリングが
合わなかったのではないでしょうか。

わくわくしながら動き出したアートロボさんを試運転してみました!が・・
T80はオートフォーカスはコントラスト検出方式です。ピントが合うのが遅いのは宿命なれど、ピントが合わなくてもシャッターが切れる
レリーズ優先方式です。暗い部屋の中ではピント合わせをすぐにやめて「ちょいちょいまだやんけ!」と突っ込む間もなくシャッターが切れてしまいます。
こらこらアートロボ、仕事を諦めるのが早すぎです(^^;)。

そこでやむをえずマニュアルフォーカスに切り替えるわけですが、ピント合わせのスプリットイメージは上下左右十文字なんです。
まるで薩摩島津家の家紋のようで、鹿児島では人気が出そうでごわす。

コントラストさえハッキリしていればなんとかピントは合わせてくれますので・・
コントラストのばっちし出そうな快晴の日を待ってアートロボ出撃です!


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 毎日暑い日が続きますので涼を求めて布引の滝などに行ってみました。これぐらいお天気が良いと
T80も迷いもなくピントを合わせてくれます。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 続きましては貯水池横の「五本松かくれ滝」です。ごうごうと流れ落ちる水が名水神戸ウォーターだと思うと
手ですくって飲みたくなりますね(^^)。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 T80はマルチプログラムをピクトグラフ(絵文字)で種類を選択でき、撮影が楽しめるのがウリです。
その名も「T80イメージハンティング」!!

なので「シャローフォーカスモード」でお花を撮ってみました。今の世ならポートレイトモードに相当するタイプですね。
できるだけ絞りを開けて被写体を浮き上がらせるモードで、見事に背景をぼかしてくれているのですが・・
残念ながら標準レンズのAC35~70mmF3.5~4.5のぼけ味がドヨドヨであんまり嬉しくありません(^^;)。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 今度は背景までピントを合わせたい「ディープフォーカスモード」です。今なら山の絵の風景モードですね。
こちらは残念ながら効果が良くわかりません。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 雨のオニユリを最短撮影距離で撮ってみました。これくらいですとなかなか「らしい」写真になります。
70mm域ですとぼけもまあまあかな?。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 暑い暑いのでダレているノラ猫です。ピント合わせのガッ・ゴッ・ガファ・ピピという音ももちろんですが
ミラーとシャッターのベヨヨ~ンという音とビョイイ~ンというにぎやかな巻き上げ音にさらに驚いていました。
まさに「アートロボ」の作動音なのです。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 35mmのときのボケこそイマイチですが、AC35~70mmF3.5~4.5は実に素直な発色です。ちょっとたるたるの収差が目立ちますが
この描写は他社のボディ標準装備の廉価版ズームより一歩抜きんでていますね。


 キヤノンT80 AC35~70mmF3.5~4.5 プログラムAE プロビア100F

 なんと!ホバリングしているミツバチさんにアートロボは見事にピントをあわせてくれました!と言いたかったの
ですが・・残念ながらロボはガッ・ゴッ・ガファとうなるだけでピント合わせは不可能でした。
仕方ないのでマニュアルフォーカス・置きピンで撮影しました(^^)ゞ。

今回T80で真面目に撮影してみてつくづく思ったのですが「オートフォーカス以外はなかなかに楽しいいカメラ」ということです。
露出補正が逆光補正以外にないのもキヤノンの自信のあらわれではないでしょうか?

その「ロボ」なオートフォーカスゆえハードに使われたこともなく大事にしまわれっぱなしの個体が多いようで
もし生き残っていればスレもなく美しい程度の機体が多いようです。

FDレンズは絞りをAに設定すればFDレンズユーザーの方は「T80イメージハンティング」で遊べますので
面白いということではなかなかにおすすめの一台ですよ(^^)。

コメント (2)
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