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今年は甲子園を沸かせた選手達がこぞってプロ志望を表明したため、ヒジョーに興味深いドラフト会議であった。
「人の運命を、クジ運で弄んで…」
と否定的に見る人も少なくないが、札ビラで選手の面を張る逆指名がなくなっただけでもマシかもしれない。
最も注目を集めた一人である県岐阜商・高橋投手は、3球団競合の末ソフトバンクが交渉権を獲得した。間違いなくプロでも活躍出来る素質があるだけに、ソフトバンクはどこまで強くなるのだろうか…
甲子園優勝左腕・東海大相模の小笠原は中日。今季は低迷した中日だけに、いい投手が入った事は戦力均衡の観点からも喜ばしい。来季より監督に専念する谷繁氏の手腕が問われる。
高校no.1遊撃手の仙台育英・平沢はロッテ。その平沢を1/2の確率でハズした楽天も、守備・走塁は超高校級のオコエを外れ1位で獲得出来たのだから良かったのではなかろうか。
意外だったのは、甲子園準優勝の仙台育英・佐藤世那投手がオリックスに指名されたのだがなんと6位。敦賀気比の平沼投手が日本ハム4位まで残っていた事だ。甲子園で騒がれたからと言って、決して上位で指名されるわけではない、というのもプロの目の厳しさか。
そんな中、後味の悪い事件が起きてしまった。
大学通算安打記録を塗り替えた即戦力外野手、明治大・高山はヤクルトと阪神が競合の末、一旦はヤクルトが指名権を獲得し写真のように真中監督が派手なガッツポーズをしてみせたのだが、TV中継のCM明けでなぜか阪神・金本新監督が喜びの表情を見せていた。
なんでも、真中監督が当たりカードがどのようなものかを知らなかったためで、開封しNPBのマークを見た瞬間ガッツポーズをしてしまったというお粗末な話だ。せめて本番前に、当たりカードにはどのような表記がなされているかを知らせるリハーサルは出来なかったのか?
私はヤクルトファンの知り合いに「おめでとうメール」を送ったのも束の間、ぬか喜びさせるだけとなってしまった。
高山選手にしてみれば、手違いで就職先が慣れ親しんだ神宮から甲子園に変わる。くじ運とは違う運命のイタズラ、というのは余りにも酷ではないか…?