蟹田を出た太宰とN君は、津軽北端の竜飛岬を目指して進みます。「外ヶ浜」でも道中での出来事が書かれていますが、それを別にすると特に印象的なのが、津軽の歴史を文献から紹介しようとする試みがなされていることでしょう。主に凶作、風土、伝説などを文献から抜粋しています。津軽に足を運んだことがない人も(私も一度きりですが)これでおおよそ、その姿がぼんやりとつかむことができます。ただ、やや抜粋しすぎていて退屈感も否めないのですが。
太宰とN君のやり取りは大変ユーモアにあふれています。N君が酔っ払ってドジをやらかし、太宰がその被害を被る、のパターンです。太宰も怒鳴りだすのではなく、ふて寝するのだから面白いもので、2人が信頼しあった友人同士であることを強く感じます。なかでも三厩での女中との場面は、夏目漱石の『二百十日』を思い出させるようで思わず笑みがこぼれてしまいます。
竜飛岬で迎えた朝。前の夜、N君が大声で歌い出したため、強制的に寝ざるえなかった太宰は、寝床の中で戸外から流れてくる女の子の手毬歌に聞き入ります。太宰は「私はたまらない気持であった」と締めくくっていますが、おそらく、太宰はこの場面で故郷への愛着心を強く感じたのではないでしょうか。少なくとも、私が太宰の立場なら、そう感じるのです。人間は、一見何気ないことに強く愛着心を感じることがままありますから。
太宰とN君のやり取りは大変ユーモアにあふれています。N君が酔っ払ってドジをやらかし、太宰がその被害を被る、のパターンです。太宰も怒鳴りだすのではなく、ふて寝するのだから面白いもので、2人が信頼しあった友人同士であることを強く感じます。なかでも三厩での女中との場面は、夏目漱石の『二百十日』を思い出させるようで思わず笑みがこぼれてしまいます。
竜飛岬で迎えた朝。前の夜、N君が大声で歌い出したため、強制的に寝ざるえなかった太宰は、寝床の中で戸外から流れてくる女の子の手毬歌に聞き入ります。太宰は「私はたまらない気持であった」と締めくくっていますが、おそらく、太宰はこの場面で故郷への愛着心を強く感じたのではないでしょうか。少なくとも、私が太宰の立場なら、そう感じるのです。人間は、一見何気ないことに強く愛着心を感じることがままありますから。