学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

国立新美術館「シュルレアリスム展」

2011-02-21 20:24:47 | 展覧会感想
今日は暖かな陽気です。春がだんだん近づいてきましたね。暖かな陽気となったら、家にじっとしてはいられない(笑)ドライブをして楽しんだ一日でした。

久しぶりの展覧会感想を書きます。国立新美術館で開催中の「シュルレアリスム展」です。展覧会は5部構成で、ダダからアンドレ・ブルトンの死の前後までを紹介しています。つまりシュルレアリスム全般の流れを紹介した内容ということですね。5部構成だとボリュームが多くて見るのに疲れる…と思われるかもしれませんが、部と部の間に照度を落した小さな部屋を設け、そこでブルトンの『シュルレアリスム宣言』などの書籍を紹介したり、シュルレアリスムの映画を上映したりしており、適度に気分をクリアにしてくれるので、鑑賞者としての疲労もそれほどなく見ることが出来ました。展示の工夫は深し、ですね。

展示作品はアンドレ・マッソンの作品が多く見られます。全般的な作品のジャンルは油彩画、ドローイング、オブジェ、写真など多種多様。私が好きなのは、ルネ・マグリットの《秘密の分身》。マグリットらしい絵だなあと(笑)男性の顔を割ったら、何か機械のようなものがうごめいている。そうして彼の背後には広くて不穏な海が広がる…。人間のもろさや社会への不審、そんなものが感じられます。ユーモアがあったのは、ヴィクトル・ブローネルの《狼-テーブル》です。自分の尻尾を見て、歯を立てて怒る狼のオブジェです。漫画を見ているようで笑えました。

昨日のブログにも書きましたが、シュルレアリスムの絵画を見るときは、初見の印象を大切にし、堅苦しく考えないで見ていくと面白く楽しめるのではないでしょうか。確かにこの絵にはこういう意味があって…と考える鑑賞方法もありますが、シュルレアリスムの絵をそういう見方で見ると、非常に肩が凝ります。美術館へ足を運ぶのは絵を楽しみたいからであって、肩を凝るためにいくのではなし。シュルレアリスム展では、思わず笑ってしまいたくなるような絵画もありますから、ぜひ肩肘張らずにご覧下さい。


今日はいつもよりも長いブログとなりました。…明日から仕事なのですが、当館は今が忙しさのピーク。3月中旬までほぼ休みなしで働く予定です。身体を壊さないように、明日からまた頑張ります。