学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

美術団体による公募展

2018-06-11 12:09:47 | その他
私の地元には美術団体があって、毎年公募展を開催しています。私も展覧会を見に行くのですが、主催者の方に話を伺うと、高齢化が進み、若手作家が入会してこないことが悩みになっているようでした。少子化の影響が出ているのかな、と思っていたのですが、どうもそれだけではなさそう。

6月9日の日経新聞朝刊文化欄に「公募展変われるか 若手離れに危機感」との特集記事がありました。それを読むと、地方の美術団体というよりも、日本全体の美術団体で若手離れが進んでいるとのこと。

美術団体に所属し、公募展に出品するメリットは、自分の作品の客観的な評価が得られ、さらに作品が受賞となれば作家としてのハクがつく。また、団体を通して、様々な作家と交流が結べ、その中から創作活動の何らかの示唆を受けることもあるでしょう。

しかし、今の若手作家はもはやそうしたことはメリットとして感じなくなっているよう。記事にもあるように「お金を出してまで公募展に出品するメリットが分からない」の一言に尽きるのかもしれない。つまりは、評価をして欲しいのは作家からではなく、自分の作品を買ってくださる一般のお客様であろうし、作家との交流もSNSでできる。さらに美術団体に所属すれば、立場や評価が上がるにつれて会費は高くなり、責任も重くなる。そうしたものを背負うよりも、自分の自由に創作活動を展開していったほうがいいだろうと。

どちらの選択がいいのかは一概には言えないけれど、美術団体による公募展が岐路に立っていることは間違いなさそうです。美術団体も様々な取り組みを実施しているようですが、今後どうなっていくのか、気になるところです。