学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

読書の秋

2020-09-14 10:02:19 | 読書感想
9月もなかばに差し掛かり、風が心地よい季節になってきた。戸外から流れる虫の音もまた一興である。だが、かつて清少納言が「秋は夕暮れ」と書いた秋のイメージは、いま楽しめそうもない。雷と土砂降りがこそが、今日の秋の夕暮れになってしまっている。

そんな天気をよそに、私は心静かに読書をして秋を過ごす。読んでいるのはチャールズ・ディケンズの『荒涼館』(岩波文庫)。まだ読みかけだが、19世紀のイギリス社会の一端がよくわかるし、なによりユーモアあり、ミステリーありで、ストーリー自体が面白い。もう一冊は、レイモンド・カーヴァーの『what we talk about when we talk about love』と、デフォーの『Robinson Crusoe』で、こちらは洋書である。日本語以外の言語で本を読むという行為は、頭がリフレッシュするし、なにより訳文を通さずに原文を読むことで、作者の言葉が生に伝わってきて心地よい。

夜、私は暗い明かりのもとで本を読む。すると、本の世界へ一気に吸い込まれてゆく。そして、いつしか現実と夢の境界線が曖昧になりだす。こうなったところで、私は眠りにつく。毎日が最高の一日である。