学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

作品の寄贈を受け入れる

2023-03-26 06:38:47 | 仕事
先日、一般の方から作品の寄贈の申し出があり、美術館として数点をお引き受けしました。

美術館が自館の収蔵品を増やすためには、2つの方法があって、それは作品を購入することと寄贈を受け入れることです。今日、なかなか予算が厳しい状況ですから、作品を寄贈いただけるというのは大変ありがたい話で、そういった作品が積み重なることで、コレクションの充実へとつながっていきます。

寄贈を受け入れるためのプロセスを紹介しますと、まずは作品そのものの目視による確認(作品の状態も含め)と、その作品を手に入れた由来を聞き取ります。その後、その作品が美術館の収集方針に基づくものかを確認、さらに館長や学芸員による作品の評価(外部の評価も含めて)をしたうえで、それが適切であれば寄贈の受け入れとなります。この中でも特に作品の評価がなかなか難しいところ。日頃から作品を見る目を養っておくことは必要ですし、寄贈を受け入れるにふさわしい作品であることの根拠を固めるために、様々な資料をかき集めて対応することになります。以前、100点近い寄贈の申し出があったときは、評価まで半年くらいかかりました。

こうして寄贈を受け入れた作品については、当館の場合ですと、2、3年に一度、寄贈作品展として、一般のお客様に公開しています。当館にとっては美術館活動の成果をお示しできるものでありますし、なにより、一般のお客様にも、このたび作品を寄贈された方にも喜んでいただける展覧会として、とても好評です。美術館がいろいろな方から支えられて、その活動ができていることに心から感謝し、今日も仕事に取り組んできたいと思います。