語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>経産省・エネ庁「ネット監視事業」の破綻

2011年12月08日 | 震災・原発事故
 経済産業省が所管する日本原子力文化振興財団は、「国民洗脳マニュアル」により、大衆操作のコツを教える【注1】。
 大衆が原発についてどう考えるかは、経産省・資源エネルギー庁が、(a)「原子力施設立地推進調整事業(即応型情報提供事業)」により、「監視」してきた。過去3年間は雑誌や新聞が対象だったが、2011年度は対象をインターネットに移し、事業名を変え、(b)「原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」を実施した【注2】。
 (a)には、3年間で4,600万円が投入された。(b)には、福島第一原発事故後の原発推進派の危機感を反映してか、単年度で7,400万円をつぎ込んでいる。
 今年6月に入札募集した(b)の事業目的にいわく、「正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する」。
 ために、ツイッターやブログなどから原子力発電等に関する書き込みを収集し、「不正確な」書き込みから質問を作り、「正しい」回答をインターネット上に公開する、というわけだ。

 しかし、(1)何をもって「正しい」情報とするのか。(2)それを誰が決めるのか。
 新たなネット監視だ、と強い批判が巻き起こった。
 そもそも、「不正確」の基準さえ、定義されていないのだ。
 有識者には一度集まってもらったが、成果がでなかった。それ以降、会合は開いていない。【資源エネルギー庁・担当者】

 今年度事業は、機械検索と人によるチェックで書き込みのやりとりを追跡するものだ。日に1,000件余の「不正確情報」を収集し、質問作りの材料にする。有識者の下で、年度末までに100件以上のQ&Aを作成し、インターネット上で公開する・・・・はずだった。
 ところが、執筆者があいついで辞退し、事業が破綻しつつある。
 Q&Aは、第一弾で目標の3分の1を掲載し、秋以降に順次増やしていく予定だった。しかし、計画は目論みどおり進まず、Q&Aが100件できるかどうかも危うい状況だ。
 しかも、Q&Aには有識者の名前を出す予定だったが、匿名に変更される見込みだ。執筆の辞退者が多数にのぼり、回答が作成できなくなったからだ。

 ちなみに、7,400万円の予算で100件のQ&Aということは、Q&A1件当たりの単価は74万円ということだ。
経産省が産業や企業を成長させる構想を描けない【注3】のは当然だ。

 【注1】「【震災】原発>日本原子力文化振興財団による「国民洗脳マニュアル」
 【注2】広告代理店のアサツーディ・ケイ(ADK・東京)が落札した。【「【震災】原発>経産省・資源エネルギー庁によるネット監視と世論操作」】
 【注3】古賀茂明(田原総一朗・責任編集)『決別!日本の病根』(アスコム、2011)の第2章「経済産業省との決別!」

 以上、中島みなみ「無駄 エネ庁「ネット監視」有識者の辞退で事業自体が難航」(「週刊朝日」2011年12月16日号)に拠る。
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