語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>放射能汚染がれき焼却処理の誤り

2011年12月12日 | 震災・原発事故
 がれき発生量は、東北被災3県で2,400万トン。全国のごみ総量の半年分だ。
 宮城県や岩手県全域をみると、がれき処理が進んでいない自治体もある。

 だが、仙台市は、その処理に震災直後から取り組み、自前で完了させる目処をつけた。仙台市のがれきは、135万トン。年間のごみの3.5倍だ。 
 仙台市震災廃棄物対策室は、阪神・淡路大震災復興のノウハウを学び、学者の知恵を生かす体制を作った。がれき総量をすばやく推計し、市内3ヵ所の搬入場で細分化し、できるだけ資源化を行う基本方針を建てた。がれきの整理、仮設置場の確保、処理施設の建設を進め、最終処分場も確保した。地元で徹底的に分別資源化する体制を築き、2014年3月までに処理を完了させる。がれきに限らず、排出元での徹底的な分別資源化がごみを減らし、有害物の排出を抑制する。
 仙台市は、被災地であっても、人・物・金・技術・知恵の5条件を整えれば、自前で処理可能なことを示した。
 全国の自治体に求められているのは、がれきの受け入れではない。まず、被災地自治体の自前の処理に係る5条件を提供することだ。
  
 被災地のがれき処理をより困難にしているのは、(a)放射能汚染が福島以外の地に広がったこと、(b)環境省を始めとする国のお役所的対応だ。
 汚染が全国に広がるにも拘わらず、環境省は広域処理の方針を変えない。しかも、燃やす基準を示さない。全国の自治体が受け入れないのは当然だ。

 石原慎太郎・東京都知事は、2014年までに50万トンのがれきを引き受ける、と宣言した。5万トンは都が管理する埋立処分場に、45万トンは焼却処理する、という。
 ところが、焼却処理の権限は区市町村にあり、都が勝手に決定できない。都の担当部局によれば、50万トンという数字は区市町村の「引き受け確約量」の合計ではなく、「処理能力可能な量」でしかない。

 放射能汚染物は焼却処理可能、という環境局の言い分の主な根拠は、市町村の清掃工場の焼却炉に設置されている「バグフィルター」等によって放射性物質は99.99%除去できる、という仮設だ。
 バグフィルターは、生活ごみを焼却した時に出る煤塵や有害物質の除去装置だ。ダイオキシンも十分には除去できず、破損やバイパス事故でも知られる【注1】。それが、いつの間にか放射性物質99.99%除去が可能だ、という話になった。

 放射性物質は、(1)ホットスポット(地域濃縮)に加え、(2)生活廃棄物(汚水・ごみ)が処理場に集約されて汚泥と草木ごみが高濃度を示す生活廃棄物濃縮が始まっている。
 (1)については、国や自治体は除染作業の取り組みを開始した。
 しかし、(2)については安全策を工夫することなく、焼却によって大気を汚染し、汚染を拡大しようとしている(二次被害の誘発)【注2】。
 国の処理策は、まったくもって支離滅裂だ。

 【注1】青木泰「バグフィルターで放射性物質が除去できるか? ~放射能汚染廃棄物の焼却処理~
 【注2】青木泰「放射能汚染がれきや汚泥、葬定ごみは燃やしてはいけない」(「週刊金曜日」2011年10月14日号)

 以上、青木泰(環境ジャーナリスト)「放射能汚染がれき焼却処理の間違い」(「週刊金曜日」2011年12月9日号)に拠る。
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