語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>放射能をダシにした詐欺 ~震災ビジネスの闇~

2011年12月09日 | 震災・原発事故
<例1>放射能除去装置
 被害者は、赤ちゃんのいる20代の女性(その近所にも被害者が出た)。被害額は、30万円。手口は浄水器の訪問販売だ。
 「普通の浄水器では放射能を除去できないが、うちの製品ならほぼゼロになる」という売り口上で実演する。水道、被害者宅に設置してあった浄水器に目盛りのついた棒を差し入れると反応する。被害者はパニック寸前となった。では試しに、と「うちの製品」を設置してしまう。
 後日、不審に思った旦那が水質検査をしてもらったところ、最初からあった浄水器とほとんど変わらず、むしろ濾過機能が弱いことがわかった。棒の目盛は、スイッチで操作していたのであった。
 参考・・・・海水淡水化装置(RO)を使うと、一部の放射性物質を数百分の一に減少させることはできる(コーウェイ、寺岡精工、マーフィードなど)。月数千円で利用可能。ただし、設置の必要性があるか否かは別問題だ。

<例2>放射能デトックス
 有名なところでは、ゼオライトを含有したサプリメント、ドリンク。体内の放射性物質を吸収し、体外に排出するデトックス効果がある、というのが謳い文句だ。

<例3>放射能防御用具
 放射能を防ぐマスク、というふれこみで、普通のマスクを、普通のマスクの10倍の価格で販売。
 あんまり安いと信用されないし、高すぎると売れないっていうのは、こういう商品の基本中の基本だからね。ただのマスクがこの値段かよ、って思うと笑いがとまらんよ。帽子も同じだよ。何か身につけていれば、そこに放射能がつくけど、中は大丈夫ってことじゃないか。だから、嘘はついていないの。【悪徳商人】

<例4>ホメオパシー
 カドミウム、ウラニウム、セシウム、プルトニウムなどのレメディが存在する。
 プルトニウムをどこで入手したのか、まったくもって謎である。
 これら毒性の強い放射性物質を徹底的に希釈し(<例>100倍に薄める作業を30回繰り返す)、砂糖玉に染みこませて体内に取りこめば放射能対策になる、というふれこみだ。

<例5>ガイガーカウンター
 ネットで大量に販売した者がいる。
 いつまで経っても品物が届かない。問い合わせると、需要が増えて入荷が遅れているが、来週には大丈夫、といった返事。それでも届かず、しまいには大騒ぎになった。新聞記事にもなった。

<例6>布団の丸洗い
 昔からある詐欺。
 放射能がついているかもしれないから検査する、と持ちかけ、除染もする、と誘う。いずれも無料だ、というから喜んで頼むと、放射能が検出された、除染できるレベルではない、と脅かされ、結局は高価な布団購入を迫られる。
 換気扇からの侵入を防ぐと称する防塵ネットを売りつけるのも、この系列の詐欺だ。
 放射能の一言を看板にすれば、古色蒼然たる詐欺が新たな粧いで甦るのだ。

<総括>
 浜の真砂は尽きるとも、世に詐欺師の種は尽きまじ。

 以上、夏原武『震災ビジネスの闇』(宝島SUGOI 文庫、2011)に拠る。
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コメント (1)
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